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保護者からのたより

「ほほえみの丘」を祝して

更生部 本井文子
去る三月十八日、マスタープラン第二期目の施設「ほほえみの丘」の落成式がありました。
若竹寮のお母さん方と、ゆっくり内部を拝見してきましたが、総て、「わあすばらしい」「良いわネー」の連発でした。ゆったりとした広い廊下、どの部屋も庭に面し、太陽が一杯差し込む室内は、個室に準ずる二人部屋、明るく大きな食堂等々、老人施設としての機能を十分に整えられたものでした。
思えば約三十年前、私の子供がはじめて入所した施設「黒部学園」のその頃は、冬の雪降りの翌朝には窓のすき間から降り込んだ雪が積っていた事もありましたし、『暖房はこたつにしようか、でもひっくり返して火事でもおこしては、又布団には湯タンポをいれようか、でもやけどをさせては大変だとか』、乾燥機がない為、洗濯ものが廊下や部屋いっぱいにぶら下がっていたものでした。
三十年前と比較してこの様な立派な施設が建つ事は感無量であります。その陰には障害者に直接たずさわって来られた先生方の熱意と努力、又社会の人々の理解の賜物なのです。
昨今、国の方針として、健常者も、障害者も在宅ケアの方向に進んでおります。もし、今、六十歳を過ぎてしまっている私が、在宅で子供を世話していたとしたらどうなっていたでしょう。経済面ばかりでなく、精神的・肉体的な疲労とストレスは如何ばかりか、又同居している家族のトラブル等々も容易に想像されます。
私達は子供が施設に入所している生活に慣れ、当然だと言う気持ちで生活しておりますが、あらためて「ほほえみの丘」を目の前にした時、施設のありがたさを今さらながら、しみじみ感じました。
現在、自分自身の老後の方針も定まらず、老人ホームも簡単に入れないと聞いて不安を持っている私に比べ、長年住み慣れたこの場所で、大切に世話して下される先生方、又、皆んな顔なじみの仲間達、こんな環境のもと、この先、ずっと安心して生活して行ける子供は、本当に幸せです。
平成九、十、十一年と、マスタープランは完成し、どの花生も公平にこの幸せを満喫する事が出来ます。あんなに心配していた子供の将来に一つの目処がたった今、私は感謝の気持ちをどの様な方法で表わしたら良いか。
それはやはり、セーナー苑建設募金の寄付金を精いっぱい協力する、これに尽きる様な気持ちでおります。

 

寮から丘へ

ほほえみの丘 隅田則明
平成九年度に、老いた花生を対象にした「ほほえみの丘」が完成し、四月からそこで、生活することになった花生のみなさん、おめでとうございます。
楽しい老後となるよう祈っていますと共に、私の義妹をよろしくという思いで筆をとりました。
思いつくまゝに
一、居室が、四人から二入へ(同居者減)
今までより自主的な行動が求められてくる。
二、二十人の寮から八十人の施設に
(男女共同生活)
自分の立場がより多く求められている。
三、大食堂での会食
きまりに従うマナーが求められてくる。
四、オートメ化される管理体制
おたがいより助け合う心が求められてくる。
等々考えられるが、『一日も早く新施設に慣れて、楽しい思い出を積み重

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