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セッション ?T

「人口と開発に関する研究−研究発表と討議−」

 

「アジアの都市化と開発調査−ネパール国−」

 

日本大学人口研究所名誉所長
黒田俊夫

 

まずこの場をお借りいたしまして、今回の調査実施に際してご協力くださいましたネパールの議員、政府代表の方々の皆様方また、今日ご出席いただいているネパールの代表団の方々に心より御礼申し上げたいと思います。
特に、本会議に参加されているハンディ議員がネパール政府に働きかけ、ネパールの国民の皆様方のご協力も得ていただいたおかげでこの調査を行うことが出来ました。本当に有難うございました。
まず最初に、都市化について一般的な話から始めたいと思います。私はこの世界の都市化に関して非常に大きな関心をもっております。都市のグローバリゼーションと言いますか、世界全体が都市化しています。都市人口が急速に増えており、来世紀の初めに、世界人口の50%が都市に住むことになると思います。
これは人類の劇的な変化です。人間の生活様式も変わりますし、社会構造も変わります。この変化にともなって大きな変化が起こってくるでしょうし、これは私どもにとって非常に重要な課題となると思います。
先進国と低開発国やそれほど発展していない国々の格差はあるかもしれませんが、いずれにしても、世界中で都市化が進展しています。現在、先進国では、人口の75%が都市に住み、一方、発展途上国ではまだ35%と現在の都市化率に格差はありますが、先進国、発展途上国双方で都市化の傾向は進展しています。
ここで、議論する場合に注意しなければならないのは、今後、低開発国において都市地域の人口が急速に増えていくと予測されことです。この予測に従いますと、世界の人口の半分が都市で暮らすようになると言えます。この都市化がどのような影響を我々に及ぼすのか、特に、開発問題に結びつけて考えていきたいと思います。
出生率、死亡率のパターンの変化は、人口構造へ大きな影響を与えます。また、人口の高齢化も進んでおり、先進国、発展途上地域の双方で高齢化が起こっています。
さらに、人口移動も大きな影響を与えます。人を送りだしている地域、また、受け入れる側の両方で劇的な変化が起こっています。日本も例外ではなく、社会的、経済的に重大な問題が、送りだす側と受け入れる側の両方に見られます。人口移動は地方及び都市での顕著な変化を引き起こしており、世界のどの国でも非常に急速な都市化が起こっている中で、人口移動のもたらす社会的、経済的、また政治的な問題と環境に対する影響を十分注意深く考えていく必要があります。
私どもは、このような都市化のプロセスが近代化と密接な関係があることを認識す

 

 

 

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