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第1章 EDlシステムの構成 菅又久直

これまで企業間で行われている商取引に際し、各種の帳票・書類が交換されてきました。しかし・経済の進展および取り引きの国際化に伴い、企業間の情報交換を効率良く電子的に行う電子商取引(ECニエレクトロニック・コマース)の世界は現実のものとなって来ています。特に、国際化の玄関口である港湾物流の業務においては、この情報化の波をもろに被ろうとしています。

この情報化の出発点がEDIです。EDIとは、企業間で取り引きのための情報を、通信回線を介して標準的な規約を用いて、コンピュータ間で交換することと定義されています。

本章では、当EDIを実現するための要件と、それを実装するシステム構成の全体像について解説します。

1.EDlの仕組み
 企業間の取り引きにおける情報交換を行う場合、発信者が日本語しか理解せず受信者が英語しか話せなければ取り引きが出来ないように、情報の伝送における基本的なルールを互いに約束しておく必要があります。EDIによる情報交換での基本的なルールは、『情報伝達規約(通信プロトコル)』と『情報表現規約(ビジネス・プロトコル)』と呼ばれます。

1.1 通信プロトコル
 EDIでは、取り引き当事者のコンピュータ同志が通信回線を介して接続し、情報交換を行います。コンピュータ・ネットワークの世界では、接続されるコンピュータは互いに同じ通信プロトコルを利用しなければなりません。これにより、発信者側のコンピュータが送ったデータ(コンピュータの通信では、ビットの列として送られる)を、内容が欠落したりせずに正確に受信者側のコンピュータが受け取る事ができます。すなわち、『A』という文字を送ったら、受手が『A』と認識できるところまでを通信プロトコルが受け持ちます。

企業間接続を行うEDIでは、機種の異なるコンピュータ間の接続が一般的ですので、通信プロトコルは標準を使用するか、もしくは介在するVANで通信プロトコル変換を行う必要があります。日本国内でEDIに利用されている標準的な通信プロトコルとしては、JCA手順や全銀手順がありますが、あくまで国内でのみ通用する通信プロトコルであり、国際電子データ交換には使えません。港湾物流情報のように国際取り引きに隣接する場でのEDIには、国際的にも通用する標準を使う必要があります。現在、EDIで最も多く利用されていると思われる国際標準通信方式はX.25(パケット交換網接続方式)ですが、将来的にはOSIの一つであるMHS(メール交換手順)やインターネットで普及し

 

 

 






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