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船舶の稼働事向上および緩済性の観点から、5年(40000時間)以上の寿命が望まれます。
(2)システムに対する要件
(a)CO濃度の変動の少ない改質器/COコンバータおよびCO除去器
負荷変動時は改質器/COコンバータおよびCO除去器の作動条件(流量、温度分布等)が変わりますが、その場合にもCO濃度の変動を少なくすることが必要です。
(b)酸化空気消費量のより少ないCO除去器
酸化空気量を理論的にCOを酸化するのに必要な最低量に近づけて、CO除去器での副反応による水素の消費を少なくする必要があります。
(3)長期的要件(望まれる技術開発)
(a)改質の必要のないスタック(DMFC)
メタノールを改質せずに直後PEFCに供給して発電する方式(Direct Methanol Fuel Cell)があり、最近の研究により実用化の可能性もでてきました。この方式は、改質用機器が不要になりますが、出力密度やその他の点でまだ問題があるため、その解決が望まれます。
(b)無加湿PEFC
PEFCは燃料ガスおよび酸化ガス(空気)を加湿する必要がありますが、このためにシステムが複雑になっています。したがって、無加湿でも良いPEFC用電解質膜が望まれます。
(c)高耐差圧PEFC
負荷変動中は極間差圧が大きくなることがあるため、さらに高い差圧まで耐えられ、かつイオン伝導性の高い電解質膜が望まれます。
(d)高温作動電解質膜
動揺・傾斜時の水の滞留の問題を解決するために、生成水が蒸気の状態で排出できる程度の高温でも作動可能な電解質膜の開発が望まれます。
(e)A重油を改質できるPEFC用改質器
船舶用として一般的なA重油を改質してPEFCに利用する研究が行われており、その実現が望まれます。

 

3. 結言
本研究により、燃料電池推進船実現のための技術的な道が開けたと考えています。実用化はPEFC本体の開発状況によるところが大きいと思われますが、PEFCの進歩は日進月歩であり、その開発動向を注視していくことが今後の方向を決める上で重要です。このような観点から、調査研究部会の委員を中心としたメンバーで構成する連絡会を日本造船研究協会に設けて、PEFC等の開発動向の情報交換を続けることになっています。
本研究を進めるにあたっては、燃料電池技術と造船技術を融合した広い知識が必要とされましたが、各社から調査研究部会に参加した研究者、特に岩手を中心とした研究者が非常に熱意をもって取り組んだことが、本研究が良い成果をあけられた大きな理由であると考えています。
本研究のように研究対象が多岐に亙る試験研究プロジェクトが成功裡に遂行できたのは、

 

 

 

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