図5.2.3.1 SR196C(満載状態)波紋瞰図(高波倍率10倍、Fn=0.15)
5.2.4 流場推定法構築・評価
(1)流場推定法構築
船舶の船型を決定する際には、船型計画とその性能予測が繰り返し実施される。その際、性能予測に用いる各種推定法が船型の相違に基づく流場の違いや性能の優劣を正しく評価できることが極めて重要である。そこで、ここでは5.2(2)で述べた各種流場推定法を用いて形状の異なる3船型(SR196B,Cの満載状態およびSR196Cの軽荷状態)に関する計算を実施し、実験結果と比較検討を実施した。
(a)SR196B,C[満載状態]の計算
SR196B,C船型について、造波特性や抵抗値の差違が計算でどの程度把握できるかをNICE法を用いて検討した。同シリーズ船型は、船体前半部形状は全く同型で、船体後半部のフレームライン形状がC→Bの順にU型からV型に変更されている。FnおよびRnの条件は、4m模型船を用いた船体周りの波高の詳細計測を実施した際の試験状態(Fn=0.16,Rn=4.0×10 6)と同一とした。なお、抵抗値に関してはSR196研究部会にて実施された4m模型を用いた水槽試験の結果を参照した。図5.2.4.1にSR196C船型の船体周りの波紋を実験結果と比較して示す。これによると、船体近傍の波高分布は実験と良く一致しているが、船体から離れるにしたがい計算の波高は大きく減衰している。次にSR196B,Cの船側波形(計算結果)を比較して図5.2.4.2に示す。船首の波形は、船体形状が同型であることに対応してほぼ同じであるが、船尾では、水線面が急激に内側に入り込むC船型がSS21/2〜2(x
=0.25〜0.3)付近の波の谷、およびその後方の波の峰の高さが、僅かではあるが大きく計算されて水線面形状の差が現れている。
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