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らえられるものの、差が小さく、定量的には改善の余地があるとの結論が得られた。
(d)課題抽出、まとめ
初年度(平成5年度)に実施したNICE法の信頼性検討において、以下の点が明らかになった。
・無限に広い一様流中に置かれた船体まわりの流れについて、計算領域の大きさや格子点数をある程度以上にとれば、それらに依存しない計算結果を得られることが分かり、格子の標準化が得られた。それらの値は、乱流モデルの改良など今後の計算において用いるべきである。
・複数の船型の計算によって、オリジナルのBLモデルが、抵抗値の絶対値を数%以内の誤差で予測することができることと、船型差の傾向も予測できることが分かり、乱流モデルのチューニングのべ一スとして利用できるということが分かった。ただし、船尾縦渦を弱く表現し、伴流分布のくびれが欠如するという問題点も同時に明らかになった。
・オリジナルのBLモデルを用いた特大計算(約100万格子点)によって、船尾縦渦の強度不足による伴流分布のくびれの欠如の原因が、少ない格子点数による解像度不足にあるのではなく、乱流モデルにあり、乱流モデルの改良の重要性が明らかになった。
以上のことから、船尾縦渦がより強く表現できるためのBLモデルの改良をはじめとする以下の点が、第2年度以降に実施すべき課題となった。
1.模型試験データを活用した乱流モデルの改良2・船首尾形状表現能力を高めるための格子生成法改良3・アルゴリズムの改良による計算スキーム(NICE法、WISDAM法)のロバストネスの向上4・風洞実験結果との対応をとるためのblodkage影響の考慮

 

5.1.3模型試験
(1)レイノルズ応力計測の必要性実船のみならず、模型船まわりのレイノルズ数Rn=10 6レベルの流場は、既に乱流である。乱流場のCFD計算を行うためには、RANS方程式(5.1.2.1)式のレイノルズ応力項が乱流モデルによって与えられなければならない。乱流モデルの1つであるBLモデルは、船尾周囲流場、特にプロペラ位置での伴流分布のhook状のくびれが正しく推定できないことが明らかになり、長所を残しつつ問題点を改良するチューニング作業が必要となったが、そのためには、レイノルズ応力分布の計測データがあれば、大変役立つ。そこで、模型船まわり流場のレイノルズ応力計測を行った。
(2)模型試験大阪大学大型試験風洞において、3方向の速度成分を同時計測することによってレイノルズ応力計測が可能な3線式熱線流速計を用いて、模型船まわり流れのレイノルズ応力分布計測を行った。実験条件を表5.1.3.1に示す。

 

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表5.1.3.1風洞試験要目

 

 

 

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