日本財団 図書館


 

1要約

研究の目的

我国造船業の国際競争力を増強、発展させるには、船舶の性能向上・設計の高効率化・新技術開発の拡大などがある。船舶性能設計分野では、従来からの模型試験中心の船型設計法から理論・実験に支援された計算を中核とする新しい船型計画法への転換が必要である。これをブレークスルーする新しく高精度な方法として期待されたものが数値流体力学(CFD)を中核とする流場推定法の構築である。

本SR222「大型肥大船船尾流場推定法の高度化」は上述の要請に基づき、数値計算技術、計測技術、コンピュータ・CG技術の3つの高度先端技術を有効に駆使して従来達成し得なかった複雑な肥大船船尾粘性流場が解明できる高精度の実用的推定法を開発することを目的とし、これを「流場解析的設計計画法」、即ち、船体周囲流場を計算しCG技術を駆使し視覚化して多面的角度から対話的に船型改良が可能となる新しい船型計画法の構築に役立てようとするものである。

 

研究の目標

推進性能の主な設計因子として、?抵抗要素、?効率要素、起振力の見地から?プロペラ位置伴流分布があるが、この現象を支配する船体周囲流場が高精度で推定できれば上記の目的が達成できる。本SRでは、下記3種類の流場推定法の開発を研究目的とした。

(1)基礎粘性流場推定法:2重模型船流れの仮定(自由表面を固定壁と仮定し波の発生を考慮しない)で計算する船体周囲の基礎的粘性流場

(2)造波粘性流場推定法:(1)に造波計算の機能を付加、造波特性を含めた流場計算

(3)自航時粘性流場推定法:(1)にプロペラの影響を付加、自航状態をシュミレートする

RANS(レイノルズ平均ナビエ・ストークス)方程式を差分法で解く。実用的計算法を目指して、高精度/適応性/簡便な計算システム、短い計算時間(CPU)(EWS:1日、スーパーコンピュータ:1H程度)、設計情報の豊富なポスト処理法を考慮した。

 

研究の内容

船尾粘性流場の高精度推定法を目指し下記3つの研究を相互に関連させながら進めた。

?要素技術高度化:・乱流モデルの研究・自航時粘性流場推定法の研究

・将来に向けた研究:砕波、高精度格子生成法、可視化情報定量化

?実用的計算法:・基礎粘性流場推定法構築:計算コード/格子生成法/乱流モデルの改良適応性検討による推定精度向上(流場、抵抗、縦渦、伴流)

・造波粘性流場推定法構築:波/流暢/抵抗の計算法、改良

・CG・アニメによる後処理技術、設計パラメータの表示法検討

?模型試験:・乱流計測法・解析法(風洞試験/3次元熱線流速計)

・レイノルズ応力分布の計測/解析/乱流モデル改良・評価へ

・造波流場の計測:造波粘性流場計算評価用

?流場推定法総括:・設計応用計算・評価・まとめ……→構築

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION