
(3)同種部材(ロンジ材)の位置の違い(船側あるいは船底)によるき裂伝播挙動
大型バルクキャリアー、バラストホールドの船側ロンジと船底ロンジ(図3.12参照)を対象にして、ロンジ部材の位置(船側か船底か)の違いによるき裂伝播挙動の差を調べた。積付け条件はHeavyBallastとFull Load(Coal Homo)の両状態で、変動外力として船体縦曲げ、水平曲げモーメント、波浪変動圧及びバラストによる内圧変動を考慮した。
(i)Full Loadでは船側、船底ロンジ共に平均応力は圧縮で、引張り応力範囲は小さい。
(ii)Ballast Loadでは平均応力は引張りであり、変動応力範囲は船側ロンジの方が大きく、ロンジウエブ深さ方向に進展するき裂の応力拡大係数範囲は船側ロンジの方が約30%大きい(図3.13参照)。
(iii)したがって、ウエブを進展するき裂の速度は船底ロンジの方が遅く、ウエブが破断するときの寿命では10倍程度の差が生じる(図3.14参照)。
すなわち、同種の部材(ロンジ材)でもその位置する場所(船側または船底)で荷重条件に差があると伝播挙動は異なるので保守、点検に際しては注意する必要がある。

図3.12 大型バルクキャリアのき裂伝播解析対象部材

図3.13 ロンジウェブの応力拡大係数
前ページ 目次へ 次ページ
|

|