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6. 研究成果の総括

6.1 研究成果のまとめ

本研究部会の4年間の研究で得られた主な成果は次のとおりである。
(1)実船実験自動計測、解析システム
a)計測機器、技術の進歩を大幅に活用し、船体運動、波浪(波高)、荷重、応力などについて長期の多点同時計測を自動的に行い、応答、統計値などのデータ解析を船上で実施できる計測・解析システムを開発した。
b)波高データからの波浪解析に関して、拡張最大エントロピー法をもとに、従来の方法てば問題のあった追波状態までを扱える方向波スペクトルの推定法を新たに開発し、数値シミュレーションならびに水槽実験により、本波浪解析法が追波状態も含めて高い精度を有することを確認した。
c)本研究部会で開発した計測、解析システムは、今後の実船計測計画に大いに役立つことが期待できる。
(2)実船計測
a)実船計測されたデータを短期間にスペクトル解析、統計解析および波浪解析を実施することが可能な陸上データ解析システムを開発した。
b)コンテナ船について、北米航路16航海分の長期間にわたり海象条件、船体運動、加速度、船体表面圧力、船体構造応答のデータを収集した。
c)バルクキャリアについて豪州航路をはじめ北米航路、世界一周航路といった広範囲な航路の海象条件、船体運動、加速度、船体表面圧力、船体構造応答のデータを収集した。
(3)計測データの解析
a)波浪解析として、本研究部会で開発した波高の計測データから拡張最大エントロピー法を用いた波浪解析法、目視観測による方法、供試船の航行時刻、位置をもとに気象情報から波浪推算を行う3方法について比較検討した。この結果、新たに開発した波浪解析法は、波高に関しては他の方法と比較して±1.0m程度の範囲でまとまっており、また定性的にもよく一致していることが明らかとなった。波周期に関しては波浪推算の結果とよく一致している。また、波向きに関しでは、実船実験では向波中で主方向が異なる部分はあるが、追波中は比較的よく一致することが明らかとなった。以上から、本波高計が波浪解析に有用であることが確認できた。
b)解析データについて、次の方法でその妥当性を確認した。
・数値計算による運動、波浪荷重などの長期予測では、実海域の短期海象における運動、波浪荷重などの振幅の頻度分布がレーレー分布で表されると仮定し、波スペクトル(ISSC)と運動の周波数応答関数から計算される運動の標準偏差を用いて、様々な計算を行っている。そこで、短期計測データの統計的な性質を明らかにするため、極値解析で得られる運動、加速度、圧力、応力などの代表値とスペクトル解析から得られる標準偏差を比較し、最大値を除いて、レーレー分布と仮定しても良いことを確認した。
・コンテナ船の長期計測結果から、その全体の山数は1x106〜107で、2年間の計測データとして妥当な結果である。また、加速度についても船首部での両振幅の最大値が2.0G以下となっており妥当な結果となっている。波浪変動圧は喫水線下の船側部で最も高く、船底部で小さい。
・バルクキャリアの長期計測結果からその全体の山数は1x105〜106で、1.5年間の計測データとして妥当な結果である。また、加速度についても船首部での両振幅の最大値が1.0G以下で、船速の遅いバルクキャリアとして妥当な結果である。
c)船首波浪衝撃圧については、バルクキャリアについては比較的厳しい海象状態に遭遇していることから妥当な値

 

 

 

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