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4. 計測データの解析

4.1 波浪について

本研究では航行する船舶が遭遇する海象を把握するため、船側に取付けた5本の波高計の計測結果から拡張最大エントロピー法を用いて波の方向波スペクトルを求める波浪解析方法(2.4章参照)、目視計測による方法、局所的な波浪の変化は得られないが気象情報から波浪推算を行なう方法について、詳細な解析と比較を行なった。以下に、解析方法の概要を示す。
(1)波高計による波浪解析
拡張最大エントロピー法では異なる3点以上の場所の波高情報が必要となる。本研究では、自船の動揺による波、および船体による反射波の影響を数値計算により取り除くことを検討したが、十分な解析精度が得られなかったので、船側に取り付けた各波高計で計測された実波高を直接用いて波浪解析を行なった。
(2)目視計測による方法
北太平洋を航行する船舶の気象観測結果は、3時間毎に船の位置、風浪の波高と周期、うねりの波高と周期などの観測と気温、気圧、風向、風速などの計測が行なわれ、日本の気象庁と米国NOAAに通報される。本研究ではSHIP−Aについて、この結果を集計した。
(3)波浪推算による方法
波浪推算では、日時と船舶の位置から船舶気象観測データ、海面気圧解析図などを用いて、有義波の特性と風(風速、吹送距離、吹送時間)との関係を表すSMB法(Sverdrup-Munk-Bretschneider Method)でうねりと風浪の各成分を推定した。
次にこれらの解析結果について示す。
目視観測結果はSHIP-Aの北米航路に対する北太平洋の波浪頻度表1)と比較した結果、目視観測結果は波浪頻度表と比較してデータが長周期側に偏っていること、母集団の総数が相対的に少ないので、大波高側で確率が高くなることが明かとなった。
また、波の主方向、平均波周期、有義波高について、拡張最大エントロピー法を用いた波浪解析、目視観測、および波浪推算の結果について比較した結果、以下のことが明かとなった。
・SHIIP−Aは図4.1.1に示すように比較的追い波が多い往路では、波高、波周期、波向きともに3方法の結果が比較的よく一致するが、復路では波浪解析の結果は他の方法と波高で最大2mの差があり、波向きも異なる傾向がある。
・SHIIP−Bは往路と復路ともに比較的よく一致するが、図4.1.2に示すように復路で最大2mの差が生じる部分もある。
以下に波浪解析の結果をまとめる。
・本研究で開発した波高データから拡張最大エントロピー法を用いた波浪解析法は、波高については他の計測法と比べて±1m程度の相違がある。波周期については、波浪推算の結果と比較的よく一致する。波向きについては追い波中では比較的よく一致するが、向い波中では波の主方向が異なる部分がある。
・波浪解析法の解析精度を向上させるためには、実船に搭載するセンサーの種類、配置についての検討が必要と思われる。また、波高計を用いる場合、本研究で最終的に採用しなかった自船の発散波、反射波の影響の実船での削除の方法、大振幅動揺する場合の波高計の計測精度についても検討する必要がある。

 

 

 

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