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定された応力の応答関数は実際に近いものであることが判明した。

3.7 計算による構造設計法に関する検討

3.7.1 合理的な構造計算方法の確立について
3.7.1.1 ズーミニング計算を省略した簡易推定法
現在多大な時間を要し、又精度も若干疑問視されている詳細なズーミング計算を省略する為に行った検討で得られた成果は以下の通り。
(1) ビルジホッパーナックル部の局部構造を対象に、局部形状、板厚、荷重のパラメーターを変え計算した結果、局部形状タイプ別の応力集中比は一定範囲((ア)構造で2.59〜3.45)に収まっている事がわかった。
(2) 曲げが応力集中に大きな影響を与える構造の場合は、板厚を大きくすると対象箇所の応力集中比は増加する事がわかった。
(3) 応力集中に影響を及ぼす局部形状、板厚、荷重のパラメータ―のうち一番影響の大きいのは局部形状、次に荷重、最も小さいものは板厚である事がわかった。
(4) ビルジホッパーの例より局部形状毎に代表的な荷重を負荷した計算を行っておけば、他の要素が応力に及ぼす影響ば1〜2割程度であるのでその分余裕をとればその都度設計をする毎にズーミング計算を実施しなくてもよい事になる。つまり当検討方法は汎用性がある事がわかった。
3.7.1.2 ス―パーエレメント法に関する検討
ズーミング計算の欠点を補いかつ計算時間を短縮する為に有効とされるスーパーエレメント法についての検討で得られた成果は以下の通り。
(1) 簡易モデルの計算から、通常解析に比べス―パ―エレメント法解析の方がメモリ―の使用量が少ない。
(2) 実際の船体モデルの計算から、計算時間、メモリー使用量共にスーパーエレメント法解析の方が大きくなった。この要因として中間ファイルやリスタート操作等の計算テクニックを使用しなかった影響が考えられる。
(3) ある程度のテクニックを使えば、ス―パ―エレメント法解析を用いる事により、多数の荷重ケースを扱う大規模モデルに対し、時間とコストの節約が可能であると思われる。
3.7.2 設計の基準及び手法の確立
次に挙げる各部構造別に損傷、合理化の経験を踏まえて行った検討で得られた成果は以下の通り。
3.7.2.1 ホールドフレームを支えるロンジフレーム
(1) 損傷実績が少なく許容累積疲労被害度を特定するまでに至らなかったが、当構造に対する疲労強度の検討手法を確立する事が出来た。
(2) 船の大きさによる3タイプの累積疲労被害度を計算したが有意な差はなく大型船のみ損傷が見られるのは、ORE ALTERNATE CONDITIONが大型船で高い比率で行われていると考えられるからである。
(3) 損傷に対する対策としては、MID−SPAN LARGE BRACKETが顕著な効果を有しており、又スパン端部のSOFT TOE BRACKETも有効である事がわかった。

 

 

 

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