
なった。なお、船体断面に作用する変動水圧の断面内分布の様子は、その船の遭遇する波の波長・波高や波との出会角等によって変化するため、厳密にはすべての波長や波との出会角に対して変動圧分布を計算し、これらのすべての場合について応力解析を行う必要がある。しかしながら、このようにすべての波浪条件について各船に働く水圧分布を計算することは膨大な作業となるため、ここでは、疲労強度に最も寄与すると思われる波浪のみについて計算を行なった。試計算に用いた波浪は波高3m、波長125mの規則波であり、波との出会い角のみを変化させた。
試計算による検討結果から、変動水圧の振幅は必ずしも船の大きさによって特徴づけられるわけではなく、それぞれの船の固有の性質によって異なり、特にRollの影響が大きいことがわかった。また、波浪変動圧の変動成分の分布形状も、船の大きさによってその分布パターを分類することはできず、同一の船、同一の波でも船と波との出会い角によって、変動圧の分布バターンが異なることが判明した。また、糟内変動圧については、rollの影響が大きいことがわかった。
2.6.2 変動荷量に対する構造応答
ここでは、ビルジホッパナックル部について、図2.6.1の(ア)〜(ウ)の3種類の局部構造を取り上げ、それぞれに対する構造応答を求めた。

図2.6.1 構造応答検出箇所
(ア) ナックル構造で、内底板とホッパー斜板の延長線の交点と2重底ガーダーの板厚中心が一致した構造。
(イ) ナックル構造で、(ア)に対して2重底ガーダーの位置を50mmずらした構造。
(ウ)ビルジホッバ斜板と内底板が溶接タイプとなった構造(ただし、目違いについては考慮せず)。
構造応答解析は、コースメッシュモデルとファインメッシュを組み込んだモデルとを用いて行なった。なお、荷重条件としては、バラスト兼用食にバラストを満載したバラスト状態と、鉱石を隔倉積みにした満載状態の2状態を用いた。
まず、コースメッシュモデルを用いた解析結果より、波浪変動圧および糟内バラスト水による変動圧を荷重とした場合については、波との出会い角90°の時に応力値が大きくなることがわかった。一方、鉱石を隔倉積みにした場合の鉱石圧を荷重とした計算では、Handy SizeとPanamax Sizeの構造応答の傾向は類似しているが、Cape Sizeの場合はこれらと応答が異なり、構造応答に船型による差が現れることが判明した。また、ファインメッシュモデルを組み込んだモデルによる計算結果より、いずれの荷重ケースでもビルジホッパナックル部の構造では、(ア)〈(ウ)〈(イ)の順に応力値が大きくなることが判明した。変動荷重による構造応答という観点から見ると、今回計算した3種類のビルジホッバナックル部の構造では(ア)が最も優れており、疲労強度上有効であることが推測される。
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