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1章 総則

1.1 適用

1.1.1 適用船舶
船舶の一層の高速化・大型化に対応することを念頭において検討したことから、この基準が対象とする構造材料としては鋼及びアルミニウム合金とした。これ以外の材料としてはFRPが想定されたが、大型高速船の構造材料としては鋼及びアルミニウム合金が主要なものであることから、FRP船に係る構造基準の検討については別の機会に譲ることとする。
また、この基準を策定するために行われた実験・解析からみて、この基準をそのまま適用して合理的な船舶が設計できるのは、船の長さが50m程度までと考えており、これより大きな船舶にこの基準を適用した場合には、航行状態の違いから、算定した荷重は実際の荷重に比べて大きなものとなるものと考えている。このため、この基準の第2章「設計荷重」及び第3章「強度計算」については、鋼製又はアルミニウム合金製の、船の長さ50m以下の高速船に適用することとした。
1.1.2 小型の船舶
現在、高速船の構造基準としては、昭和47年に定められた「軽構造船暫定基準」(以下「暫定基準」という。)が用いられているが、暫定基準が施行されてから既に20年を超えているため、この間に暫定基準により建造された船舶はかなりの数にのぼる。このため、暫定基準に馴染んでいる造船事業者も多く、今後も暫定基準の利用を望んでいる者もいる。
また、船体構造の局部強度については、この基準は弾性範囲内での設計、暫定基準は塑性設計という考え方の違いがあること、さらに、この基準が暫定基準に比べ、より大きな船舶を対象として検討したため、小さな船舶の場合に、暫定基準を満足している部材寸法であっても、この基準を適用した場合に部材寸法が不足することもありうることが分かった。
このため、本来の暫定基準の適用範囲である、平水区域又は沿海区域を航行区域とする登録長さ24m未満の高速船については、十分な実績もあることから、この基準によらず、暫定基準に従ってもよいこととした。
1.1.3 特殊な船舶
この基準によりがたい又はよらない高速船の設計を行う場合が生じることが考えられるが、原則として、この場合には当該設計は首席船舶検査官に伺いでることとなる。本項において注意事項を記載してあるが、これは、伺いのうち頻度が高いものと予想される、船の長さが50mを超える高速船、双胴型の高速船及び直接強度計算を行う高速船に対して特に言及したものであり、このような高速船又は言及事項以外について考慮する必要がないとしているわけではない。

 

 

 

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