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後方は舵後端がそれより遠い場合は舵後端までとする。
以上は一応の目安であって、実例ではこの限界以上の板厚でかなり高い応力が計測された例もある反面、限界以下の板厚で問題を起こさず使用されている例もある。そこで限界に近い場合には起振力との同調関係が問題となる。
三菱下関造船所の関氏は、これをパネルの固有振動数の面から解析している3)。図5.20がそれである。ただし、縦軸のパネル固有振動数は実測値ではなく、鬼頭教授の式による片面接水の矩形板としての計算値である。
これから見ると、プロペラの定格回転数N0の6倍の線までは損傷あるいは補強を要した実例がある。これらの艇はプロペラ翼数はすべて3枚であるから、6N0は起振力の2次の振動に相当する。すなわち、パネル固有振動数は機関の使用回転数範囲においてプロペラの1次及び2次の振動に同調してはならない。
なお、片面接水矩形板の固有振動数は次式により、また、アルミニウム合金板に対するK1,K2は図5.21によって求められる。

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ここではプロペラ直上外板の板厚だけを規定しているが、これを支持する縦通材、肋板、パネルブレーカー等もそれに相応したものでなければならない。
山形材のパネルブレーカーをリベット接合したところ、パネルブレーカー端部のフランジがリベット孔を通って裂けた例がある。溶接構造でパネルブレーカーを桁板ウェブに突付け溶接したところ、桁板に対しパネルブレーカーの反対側の外板にクラックが発生した。これらは肘板を用いて桁板、肋板に十分に固着する必要があった。
外板の板厚を増したら、それに対応する内部骨部材もそれに相当して丈夫なものとしなけれぱならない。「魚雷艇4」の例では、外板厚さを8mに増厚(他の船底は4.5mm)したところ、外板に損傷は発生しなかったが、それを支える側桁のウェブ(4mm)のすみ肉溶接2番に多数のクラックが発生した。
一般の船底でも肋板や側桁のウェブ厚さは船底外板の0.8程度であり、薄くても0.75、側桁のウェブに稀に0.6を割る例があるが、0.5という実例はほとんどない。外板厚を増すときは

 

 

 

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