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図4.10

 

4.3 水圧の大きさと分布

4.3.1 最大船底衝撃水圧
スラミングによって船底に受ける衝撃水圧は、実艇試運転から観察すると、小さな面積に集中して高圧を受け、その高圧域は圧力を低下させながら移動して行くものであることが観察される。これは細く防撓された船底外板のパネルの変形を記録するとよく分かる。先ずある1区画が大きく凹み、その両隣の区画が凸になる。次いで凹の区画が凸に変わり、両隣の凸だった区画が凹に変わる。これが次々に両側へ伝播して行く。
衝撃水圧は実艇試験によって求められる。船底に水圧計を取り付けて計測するのであるが、試験時の海面状態によって最大衝撃水圧の発生する位置が一定しないので、かなり広範囲に水圧計を分布させねばならず、また準備可能な計器の台数も制限されるので、その航走で発生した最大値を計測し得たかどうかさえも不確実であるし、同時計測可能な点数から圧力分布、変動の状況も掴みにくい。
水圧計測には船底外板に穴をあけ、座金を付けて愛感部を取り付けなければならない。波浪中での運転・計測は、準備工事・復旧工事の関係もあり、また、相当な波浪状態のための天候待ちも必要で、普通の新造艇では納期の関係もあり、稼動中の艇ももちろん、費用の点と時期、期間の両方から実施はかなり困難である。我が国での試験例は防衛庁、海上保安庁の高遠艇に限られ、特に水圧計測は防衛庁の試験に限られている。

 

 

 

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