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4. 高速艇の波浪外力

4.1 波浪中における高速艇の運動
4.1.1 波
(1)風浪とうねり
強風域の中で、その強風によって起こされた波を「風浪」と呼び、発生域の外に伝播して行って「うねり」に変化する。
風浪は、個々の波が鋭い頂きをもった山脈と似た形をしている。頂きの長さ(尾根)は、それほど長くなく、頂きと頂きとの距離の2〜3倍しかない。個々の波は全てが同じ方向に並んでいるわけでもなく、不規則である。現在通過しつつある波の次に、どのような波が来るか予測することはできない。
一方、「うねり」は低くて丸い頂きを持っている。頂きの長さはかなり長く、少なくとも頂きと頂きとの距離の6〜7倍はある。「うねり」はかなり規則的で、高い波の次には高い波が続き、5〜6個同じ程度の波が連続する。したがって、「うねり」は短時間内では予測が可能であるが、長時間にわたっては風浪と同様に予測が不可能である。

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(2)波高の分布
一般の海洋波では、波高Hの統計的分布は、レイリー分布に近い。波高Hの統計的分布がレイリー分布で与えられる場合には、1/n最大波及び最高波を理論的に求めることができる。1/n最大波高Hl/、は、一連の数多くの波の中で波高の大きい方から全体の波の個数1/nだけを選び出して、それらの波高を平均した値を意味する。1/3最大波高を有する仮想的な波は有義波と呼ばれ、船乗りが海面を観察し、その海面の波高として報告する値に近く、その海面における基本的な波高と言われている。
平均波高H、有義波高H1/3及び1/10最大波高の間には下記の関係がある。

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