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(2)質別アルミニウム合金は圧延や引き抜き等の冷間加工、また、焼入れ(溶体化処理)、焼戻し(人工時効硬化処理)、焼なまし等の熱処理によって機械的性質を調整す乱質別とは、これらの製造過程の違いによって得られたものの機械的性質の区分であり、HS規格では次のように規定されている。
基本となる質別は、表3.26に示すF,O,H及びTの4区分である。質別Fは製造のままのものを示し、展伸材では機械的性質を規定せず、鋳物材に多く用いられる。質別Oは焼なましたものである。質別Hは、焼なました材料に圧延又は引き抜き等の冷間加工を施し、加工硬化させたものである。質別丁は、焼入れ、焼戻し等の熱処理を施したものをいう。船体構造用アルミニウム合金で用いられる質別は、5000系合金においてはO及びH,6000系合金ではTである。

 

表3.26質別の基本記号、定義及び意味(JlSH0001(1988))

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質別Hは、展伸材非熱処理型合金だけに適用される。その細分記号(HXY又はHXYZ)は、基本記号Hの後に、常に二つ、又はそれ以上の数字を付ける。Hの後の最初の数字Xは、表3.27に示す基本的な処理を表す。次の数字Yは、表3.28に示すように引張強さの程度を、HXYに続くZはHXYで決められた質別を基礎として若干の変更が加えられたことを、それぞれ示す。具体的には、次のようである。
HXYは、焼なましたものを冷間加工し、断面減少率がほぼ75%の場合における引張強さを持つものをHX8と定め、それと質別0の引張強さとの差を8等分し、引張強さの低い方からHX1,HX2、…HX8として表示したものである。例えば、質別OとHX8(硬質)の中間の引張強さを持つものがHX4(1/2硬質)、OとHX4の中間の引張強さを持つものがHX2(1/4硬質)であ

 

 

 

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