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3. アルミニウム合金材料

3.1 船舶とアルミニウム合金

3.1.1 船舶用アルミニウム合金の変遷
我が国における全アルミニウム合金船の建造は、昭和27年における52S(5052相当)合金半硬質板を用いた長さ8m前後の救命艇1)、次いで56S(5056相当)合金板による試作5m船外機艇2)に始まり、いずれも組立は鋲接であった。昭和29年の海上保安庁15m巡視艇「あらかぜ」3)は、当時NP5/6合金と呼ばれていた5083−O合金板を初めて採用し、ティグ溶接によるものであるが、縦肋骨に用いた同合金Z形材と外板との取り付けは鋲接であった。昭和35年の魚雷艇10号では、軽量化を図るために同合金1/4硬質板が採用され、Z形材がバルブアングル形材に変更されている。全溶接構造としては昭和43年に6m艇の試作を経た後の魚雷艇11号からであり、押出形材としては幅300m以内の船底縦肋骨付外板材、チャイン材、ガンネル材が採用された。これらの経緯については2.3に詳述されている。
船体構造材料は、以上のように「あらかぜ」以来の実績から5083−H32又は同-O合金板と同−H112合金押出形材であるが、最近の高速艇では溶接ひずみ防止と軽量化の観点から5083−H112合金大型広幅押出形材を船殻に、上部構造には押出加工性のよい6N01−T5合金薄肉広幅押出形材をそれぞれ多用するようになってきた。また、「あらかぜ」ではティグ溶接を用いたが、その後は作業性その他から次第にミグ溶接となり、現在に至っている。一方、鋲接は上部構造等の薄板で構成される部分にブラインドリベットによるものが稀に残っている程度である。
なお、昭和52年末頃から建造が開始されたアルミニウム合金漁船は、船殻に5083−O合金板と同−H112押出形材を用いたミグ溶接が主で、魚撈作業の関係から甲板のみが5052−H112合金縞板である。
一方、欧米における小型船舶へのアルミニウム合金の採用は、1890年代からである。当初の合金はA1−Cu系やNiを含むもので鋼製肋骨に鋲接されたので、通常の腐食に加えて鋲材との接触腐食の問題を生じた。その後、1930年代の鋲接による6061合金の採用を経て、1940年代からA1−Mg系合金となり、ティグ溶接を1950年代から採用している。米国海軍は開発されたA1−Mg系合金の中から板材として5086−H32及び5456−H321合金、押出形材として5086−H111及び5456−H111合金をそれぞれ採用したが、前2者は剥離腐食を生じたので、それを改良した質別H116の板材を制定4)した。ただし、米国の高速艇では5086−O合金板及び5086−H111合金押出形材が用いられており5)、5456合金の使用は’ジェットホイル’を除いては定かでない。また、上部構造には6061−T6合金を用いることもあるが、欧州では薄肉軽量化の代替材料として6082(A1MgSi1)−T6合金押出形材が採用され始め、ノルウェー船級協会(DNV)規格6)にも登録されている。
3.1.2船体構造用アルミニウム合金の種類と用途
アルミニウム合金船に使用する材料は、鋼船構造規程・船舶検査心得2−1第2章(B)に5052、5083、5056、5154及び6061の計5合金が規定されている。これは船体に使用する材

 

 

 

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