第三編 FRP船用木型の現図
1 木型の構造
FRP船成形用めす型は簡単に分類すると木製めす型とFRP製めす型とになるが、FRP製めす型を造るのにはまず正確な木製おす型(plug)を製作して、これからFRP製めす型(Mould)を採らなければならない。
FRP船の線図は外板表面を現わしているのが普通であり、型構造及び工作を十分に理解したうえで現図作業を行わなくてはならない。成形型の工作法については「FRP船技術指導書工作編 5 成形用型」を参照すればよいが、ここに現図作業に関係する主要点について述べておく。
木製型の現図はまず外板面を示す線図から外板除去を行ってフレーム面線図を作成しなければならない。標準的大きさの船において除去(又は付加)すべき外板はおす型の場合、両矢羽根張り外板の内板10mm外板15mm、合計25mm程度を外板面の線図から除去してフレーム面を得る。めす型の場合は3mm型面板、20mm目板、合計23mm程度を外板面に付加してフレーム面を得ることになる。
木製めす型は正しくベベルをとって加工しためす型用フレームを建て揃えたうえに、正確に厚さを揃えて削った目板を取付け、厚さ3mm程度の化粧合板を張る。
めす型内面は骨組立後、バッテンをまわして削り修正を行うことはほとんど不可能であるから、内業加工、フレーム枠組、目板厚さの精度はきわめて重要である。
化粧合板は定反物を使用し、現物合わせで型紙を採り切断できるあまり面倒な展開作業は必要でない。ただしバットの位置にフレームを置くよう、またシームは目板上に配置するような骨配置をして化粧合板を経済的に使用するためには展開作業が必要である。
木製おす型の製作は、木造艇建造とほとんど同様である。普通はフレームを倒立の位置で建揃えた上に斜二重張外板(両矢羽根)を取付けるか、巾のごく狭い単板(角材のこともある)張りとする斜二重張外板の場合は必要に応じて目板を取付けるが、この場合はフレームを切欠いて目板を通す。ただし、キール、チャイン、ガンネル等のラベットはとらず、外板は張ってから端部を削り揃えることが多い。船底スプレーストリップ等は外板張り後、張付ける。
ステムは多くの場合、かなり大きく変化する曲面となるので、集成材ブロックから削り仕上げするので、この部分はラベットを取って外板を取付ける木製めす型の場合もこのようなステムでは部分的にFRP製めす型を造って組付けることもある。
甲板は船体と別体で成形する船体との取付けは種々の方法があるが、被せ蓋式として防舷材といっしょにボルト固着する方法が信頼性が高い。したがって甲板用めす型は船体用めす型と別に製作するが、嵌合い部は甲板積層厚さ分だけ大きくする。
木製おす型は船体・甲板一体に製作すると嵌合い精度の良いめす型ができる。
木製おす型から船体部めす型を成形し、脱型した後おす型を反転して王位置に据え付けて甲板部のおす型を完成する。嵌合い部は船体おす型に甲板積層厚さ分だけの木板を張付けて仕上げる。
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