9 おわりに
現図展開を、「1 はじめに」で冒頭にことわったように、Know Why:なぜなのかを説明する試みで書き下してみた。
用いる図表示も、整合性よりイメージを強調し、現実より誇張して描いてある。
このテキストは、経験の書でなく、知識の書であるこの知識を実際の現図に当てはめて学んでいただければ、経験のかなりの範囲は凌駕できるであろう。
また説明は作画現図(手作業)についてであるが、参考としてところどころで数値現図(コンピュータ・システム)と対比した。もう数値現図の時代ではあるものの、システムがブラックボックス(覗けない内容)になっていて、定かでないものが多い。システムの導入選択に当たって、このテキストに示した内容がどのように処理されているか、つぶさに問合せ、具体的に吟味されるとよい。またすでに数値現図を使っている人にも、この作画現図の知識は「温故知新」として役立つと考えている。
9.1 現図工程中の展開作業
造船現図の機能は
?@空間に形状を表現する。
?Aその形状を取材形状に変換する。
?B形状情報を伝達手段に転換する。
の3段階に分けられる。
作業量は、手作業所要時間で
?@「現尺線図」が5%
?A「現図展開」で10%
?B「現寸型定規」で残り85%
くらいの割合になる。機能の本質的部分?@?Aは合わせて15%程度であり、この作業品質が現図の水準を決める。
丁寧な余裕を持った仕事としたい。合理化するなら?Bであろう。
9.2 現尺線図工程での展開準備
主な作業は外板曲面関連であり、切直し線図や相貫体線図は、先ず展開法や組立法を決めて準備するこれらの作業は基本設計図だけで行えるから、工作要領の前倒し検討に留意したい。
また作業者が同じ場所に集中し干渉し合わないために、現図場の使用場所計画は、加工組立日程を押えて行っておく。
一般に展開準備のための線図作成者と展開作業者は同一人で、引続き作業として計画するのが望ましい。複雑な展開部位は、準備線図も複雑になり、意志疎通や相互の思いやりが能率や精度
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