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6 非可展面の展開

非可展面展開の特徴は、その言葉自体が矛盾しているように、正確ではなく、近似展開だということである。
したがって非可展面を持つ形状を、正確に再現するには、近似展開をして取材し、曲げ加工を行って非可展面を成形し、その面上に実長関係が成立つ形状を改めて求めることになる。
この二段階の方法によるとき、取材形状を「金取り」といい、曲げ加工後に形状を求めるのを「仕上げ」という。
そして金取り曲げ加工だけで、仕上げとの誤差が、実害を生じない場合、仕上げが省略される実害の程度は、曲げ加工後の精度と次工程の取付けや組付けの手間を考え合せて判断するのであるが、実情は現図展開作業側の一存に任されている。
なぜなら非可展面展開は近似でしかないという認識が、一般に浅いからである。
非可展面とは面上に「縮み」か「伸び」かを与えないと展開できない面であり、その量と場所が特定でき、それに合せた曲げ加工ができるようになれば、正確な展開ができることになるこの加熱曲げ加工の解析研究では、ほぼ曲面形成の解明は可能になってきた。近い将来に、この結果は曲面端縁を織込んだ研究に拡がると期待されている。
このための手段としてコンピュータは欠かせず、数値現図でしか実現できない。ここでの作画現図では、あくまで:
〔空間形状実長〕=〔展開形状実長〕
の近似展開として説明してゆく。
6.1 タスキ法とマカネ法
図2.6.1に示すような、Fr線が直線で振れた面の展開を考える。
Fr線は、既に実長であり、他の実長はそれぞれの「落ち」をスペースの間に入れて「伸び」として求めればすむ。だが、これらの全ての実長を平面上に繋いでも、一つの形状は決まってこない。
それと振れ面は、すべての実長が、そのままの長さで、平面に移すことのできない非可展面である。

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図2.6.1

図2.6.2にそのモデルを示そう。板状の握り手の間にゴムヒモを多く張って、ゴムヒモが平行線になるように引張ると、ゴ

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図2.6.2

 

 

 

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