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そして、このジャングル・ジムのような格子枠を、水平・縦・横にアコーデオンのように圧縮して重ね、それぞれを平面・側面・正面として、船の現尺三面図を描く。船体全曲面はそれぞれの面に、地図と同じ要領の等高線で表現される。この現尺線図があるものとして、以降の展開は説明する。実際には船首尾端のみ三面図があり、中央部では正面図のみ描き、平面・側面は省略されるが、これは正面図があれば、この格子枠の構成から、必要なとき描けるからである。
ここで、これまでの話をまとめておこう。

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1.4 造船材料と工作法
展開により求められた取材形状をマーキングする素材としては、板材と形材がある。形材とは平板矩形の板材以外を言い、一定断面を持つ圧延材である。展開の対象としては、船殻構造材として一縁辺が板面に取付けられる帯林・山形材(珠山形を含む。)に限る。
このほかに管材・丸形材・溝形材なども用いられるが、一般図学や用器画の学習書の応用で求められるので、解説を省略する。
さて、展開は工作法によって変る。
曲げ加工には、プレス押し変形と加熱収縮を利用する変形とがあり、それぞれ単独に又は併用される。プレス加工では材料は伸びと縮みの両方が起こるが、熱加工では収縮のみが起こる(実際には収縮の反作用により僅かの伸びが生じることがあるが、収縮に比べて無視できるほど小さい。)。
船殻の組立には、内部構造の骨組を先に固めておいて、あとで皮板を個別に張付けてゆく方法〔骨立揃え→皮張付け〕と、皮板を先に継いで板面を組立後、骨(または骨組)を配材取付ける方法〔皮板組→骨取付け〕がある。
あとで詳しく説明するが、曲り外板の展開は近似的であり、不完全であるから、板継ぎ後に空間的に仕上げ(ブロック・マーキング、再切断)する必要が生じる。この場合は板継ぎシームが合い易いよう、ブロック内は同一展開法を適用するのが良いが、単板で皮張付けなら、その配慮は役に立たず、より近似度の高い展開法を作業が面倒でも採用すべきである。
なお、この曲り外板部にSea Chestなどの開孔がある場合、一般に板の位置が固まった時点で穿孔するが、この開孔の形状を求めることも展開と称している。

 

 

 

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