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ここで撓鉄作業は二つの目的を持つ。
・平面を所要の曲面にする。
・その曲面の端縁を所要の位置に決める。
この両者が果されることで、曲げ加工は終る。所要の曲面と端縁位置は、曲げ型で与えられている。
余談であるが、外板曲げ加工の自動化と謳って、多点プレス:格子状の圧点のシリンダをNCで昇降させ、その圧点突端で所要曲面を表現(詳しくはバネ戻り量を加味)し、一発押切りで曲面を成形する方式の開発が、2〜3度が試みられているが、いずれも実用になっていない。
これは端縁位置がどのようになるか、撓鉄加工の後者の目的を等閑に付してたからであろう。曲面ができれば自ずと端縁は所定位置に行く、そのように展開されているとは限らないし、よしんばそのような展開が可能になったとしても、確認制御は省いてはならないと考える。
このようにくどくどと展開の意味にこだわっているのは、この理解が乏しいからである。「展開が悪いから、板継ぎのギャップが開いた。現図(作業)がおかしい。」と、組立場より苦情がくる。話が違うのである。ギャップが開くことは、外板端縁が所定どおりでない、ということである。原因としてあるのは、
?@曲げ型が間違っている(これは、まずない。あるとすれば、曲げ型がユニバーサル・セット方式で精度が狂うか、曲げ型の当て方が正規でないか、いずれか。)。
?A曲げ加工が手抜き(曲げ加工定盤上に外板を曲げ形状どおりに支持して曲げなかったか、仕上り検査が甘いか。)。
?B曲げ加工後の外板の保管が悪い(枕台なしに放置したり、上に別の外板を重ねたりして、せっかくの曲げ加工を変形させてしまったか。)。
このいずれか、である。
つまり、展開は曲げ加工抜きには語れない。
これ以上の話は、「6 非可展面の展開」で述べることにし、先に進む。
これまでの話は、外板に関してであった。展開という言葉は、まだ外でも使われる。
一つは、材料から切出したままでは、所定の部材とはならないもの:

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いずれも曲げ加工のある構造材であり、この場合、曲げ加工前の取材形状を展開と言う。
二つは、曲げ加工はないが、図面や現図の上で、形状がまともに見えてない部材の取材形状を求めることも展開という。

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