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第3章 船の推進

3.1 船体とプロペラの相互関係

船は、プロペラを船後にとりつけて、回転させることにより航走できる。このとき、プロペラと船体は、それぞれが単独に作用している状態 つまり、プロペラだけが作動している場合とか、
船体だけを引っぱる場合とは違った性能を示す。
軸体からみれば、船体のうしろで回転するプロペラがあるため、プロペラがついていないときにくらべて、船体を同じ速力で進めるのに必要な力の大きさが変わってくる。また、プロペラの方からみると、プロペラの直前に船体があるため、プロペラのところに流れてくる水の流れの様子が、船体がないプロペラ単独の場合の水の流れの様子とくらべて変化してプロペラの性能にも変化を生ずる。
このようなことを、これから順を追って調べてみよう。
(1)船体がプロペラにおよぼす影響
プロペラの前に船体があると、プロペラに流入してくる水の速度υAの値は、水の粘性とか、船体がおこした波とか、船体が一つの形状をもっているため等の理由から、そのときの船の速度υの値より小さいのが普通である。
つまり、プロペラの前進速度υAは、船速υより、υ−υA=υWだけ遅くなる。このVWを船の伴流の速度といい、船が航走しているとき、プロペラの位置で船に伴って、船の進行方向に向かって流れる水の速度である。

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すなわち、プロペラの前に船体があることにより、プロペラの対水速度は、船速の(1−W)倍となる。
伴流係数wの値は、主としてプロペラの前にある船の形によって左右される。
この伴流係数wの値を求める方法には、模型船の水槽試験による方法、従来の多くの資料を整理して作成した推定図表、または、略算式による方法等がある。
図3.1は、推定図表の1例で、ハーバルドの図表といわれているものである。
ハーバルドは、1軸船および2軸船に対して伴流係数wと次項に説明するスラスト減少係数tの推定図表を与え、1軸船型に対しては、wもtも船の幅−長さ比(B/L)と方形係数(CB)とによって、その値を読みとるようになっている。

 

 

 

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