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これらの図を使って、たとえば、N,P,VAが与えられたとき、最適のプロペラ直径を求めてピッチ比(H/D)やプロペラ単独効率η0を読みとることができる。これらの設計図表の使い方については、さらに後に詳しく説明する。

2.4 プロペラのキャビテーション

(1) キャビテーション(空洞現象)とは?
水の沸とう点は100℃であるといわれているが、これは地上での話で、富士山頂のような高い所では気圧が低く、もっと低い己度(約87℃)で沸とうを始める。そして、この沸とう点は、気圧が下がる程低下してきて、ある気圧まで低下すると、常温でも沸とうを始めるようになる。水のなかの一部に常温でも沸とうをおこす程度に圧力の低い部分が発生すると、別に熱を加えなくても、その部分では水が蒸発を始め、いわゆる空洞を形づくるようになる。このように水中に空洞を発生する現象を、キャビテーション現象とよんでいる。プロペラの作動中におこりうるいろいろ望ましくない現象の中でも、キャビテーションは最も有害で、一番起りやすい現象である。
これは、プロペラ翼面の低圧部に空洞部が発生する現象で、これが著しくなるとプロペラの効率が落ち、船の速力が低下する。また、翼面にエロージョンという潰蝕が生じ、騒音、振動の発生原因ともなる。したがって、プロペラは、キャビテーションをさけるように充分注意して設計・製作されなければならない。
つまり、船尾の船体の形状、船体とプロペラの取りあい、プロペラの翼面積、翼断面形状、表面仕上げ等を充分に考慮する必要がある。
(2) キャビテーション発生判定基準
ある要目をもったプロペラについて、そのプロペラが計画出力時のプロペラ毎分回転数でキャビテーションが発生するだろうか、また、プロペラを設計するとき、そのプロペラにキャビテーションが起らないようにするためにはどの程度の翼面積をもつプロペラとしたらよいか等を理論的または実験的研究によるキャビテーション判定基準がいくつか発表されている。しかし、まだ完全なものはないが、次に2つの例を示す。
?@ エガートの方法
プロペラの背面に生ずるキャビテーションによってスラストが正常な値から低下し始めるときのプロペラの臨界回転数Ncを求める方法で、所要のプロペラ回転数がこの臨界値より低ければ問題がなく、もしそうでなげれぼ、Ncを高めるように設計変更をしなければならない。
Ncは、図2.9により、次の手順により求めることができる。

 

 

 

 

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