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第2章 プロペラ

2.1 プロペラの種類

船をおしすすめて走らせる手段としては、風の力または人の力によるものから機械力によるものまでいろいろとある。
一般にプロペラといえば、スクリュー・プロペラをさし、機械の力によりこれを駆動して船を走らせ、現在ほとんどすべての船に使用されている。
中小型船を使用されているプロペラは、3枚あるいは4枚の翼をもつものが普通である。このスクリュー・プロペラが、このように広く用いられるのは構造が簡単の割合いに、効率が良く、丈夫で信頼性があり、また値段も比較的安いためである。
次に、このスクリュー・プロペラには、どんな種類があるかを調べてみよう。
(1) 一体式と組立式
プロペラは数段の翼と、これらの翼を植えつけ保持するとともに、プロペラをプロペラ軸に固定する役目をするボス部とからできている。この翼とボスとが一体に鋳造されているものを一体式プロペラと称し、翼とボスが別個に構造され、翼をその根もとにおいてボス部にボルトで締付けて固着したものを組立式プロペラという。
組立式プロペラは、翼を損傷した場合、その翼だけ取りかえればよく、数個の予備翼を用意しておけばよいという利点があり、また、翼をボスに取りつけるボルト用の孔を楕円形にしておけば、翼の取りつけ角を若干加減してピッチをある程度調節することもできる。さらに、大きな鋳造設備のない工場でも翼一枚毎に鋳造できるので比較的大きなプロペラも容易に製造できる利点もある。しかし、その反面、ボス部に翼を取りつける固着用設備が必要となるのでボスの大きさが大きくなり、プロペラの重量を重くし、プロペラの効率も若干低下させる欠点がある。
2) 固定ピッチ・プロペラと可変ピッチ・プロペラ
普通のペロペラは、ほとんど固定ピッチ・プロペラで、最初に設計・製作されたピッチを船が航走中に変えることができない。
可変ピッチ・プロペラというのは、プロペラが作動中に、ブリッジからの遠隔操作で、翼の取りつけ角度を自由に変えられる。このプロペラは、機関、軸系の回転方向や回転数を一定にしたまま、船を後進させたり、また、船の速度を自由に変えたりすることができる。可変ピッチ・プロペラは、曳き船やトローラーのようなプロペラの荷重度の変化の大きい船に利用されている。しかし、このプロペラはプロペラ軸およびボスの構造が複雑となるので高価になる欠点がある。

 

 

 

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