日本財団 図書館


 

前記の抵抗のうち、形状抵抗と造波抵抗を合せで、剰余抵抗と呼んでいる。この剰余抵抗を、古い文献等では、造波抵抗と称している場合があるから、古い文献を利用するときは、注意する必要がある。
モーターボートのような高速船では、水抵抗として、上記3つの抵抗のほかに、水が飛沫を形成するための抵抗が、さらに加わる。
これを飛沫抵抗という。本書では、普通の商船の場合について考えることにして、この飛沫抵抗について考えねばならぬような船は除くことにする。
普通の船型を有する船が、風や波のない水面のなめらかな平水中を航走するとき受ける全抵抗は、次のように分けて考えることができる。
全抵抗=摩擦抵抗+形状抵抗+造波抵抗+空気抵抗
=粘性抵抗+造波抵抗+空気抵抗
または、
全抵抗=摩擦抵抗+剰余抵抗+空気抵抗
しかし、実用上空気抵抗を別に考えることにすれば、
水抵抗=摩擦抵抗+剰余抵抗
または
水抵抗=粘性抵抗+造波抵抗
=摩擦抵抗+形状抵抗+造波抵抗
となる。

1.2 粘性抵抗

(1) 摩擦抵抗
船体の表面と水とが擦れ合って生ずる抵抗である。普通、この摩擦抵抗を、RFという記号で表わし、単位として「kg」または、「トン」を用いる。
船体表面は、三次元の曲面をもち、前後方向にも、深さ方向にも曲っている。このため船体の摩擦抵抗を、多種多様に変化している船型と直接結びつけて考えることは、非常に難しい。そこで、次のような「相等平板」という平板を仮想して、船体の摩擦抵抗を簡単に求めようと考えた。
この「相等平板」とは、その長さが船の喫水線上の長さ(LWL)に等しく、かつ、その浸水面積(S)は、船体の浸水表面積に等しいような平板のことである。
古くから、船体の摩擦抵抗は、この「相等平板」の摩擦抵抗に等しいと考えられてきた。
次に述べる種々の摩擦抵抗算式は、このような「相等平仮」に対応する船体の摩擦抵抗を与

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION