第7章 復原力の計算
7.1 復原力
船の復元力は、排水量△と復原てこGZの積(△×GZ)で表わされ、このGZの値は、船の傾斜が小さい場合には、
しかし、傾斜角が増大するにつれて、メタセンタMの位置はその傾斜角に応じて移動し、その軌跡は図7.1のような曲線を描くから、上式によって求めることは困難となる。従って、傾斜角が大きくなれば、もはや単純にGZの値を(7.1)式から求めることができなくなる。
この主な理由は、船体の形状がその傾斜に応じて急測に変化するため、傾斜した時の水線が傾斜前の水線と船体中心線で交わらなくなるためである。
図7.1
いま、図7.2に示すように、水線WLで浮かんでいた船が、大きな傾斜角φだけ傾き、水線がW’L’になった場合を考える。すでに述べたように、WLとW’L’との交点は船体中心線で交わらないから、その交点を図のようにとりSとする。このとき、排水量に変化がないとすれば、傾斜によって生じた露出部分WSW’と浸水部分LSL’との体積は等しくなければならない。これをvとし、その体積の中心をそれぞれg、g’とし、またg、g’から水線W’L’に下した垂線の足をh,h’とすれば、BB’とgg’との間には次の関係が成立する。
図7.2
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