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第4章 横方向のつり合い

4.1 横方向にわずか、船体力個斜したときの浮心の移動

図4.1のように、水線WL上に垂直に浮かんでいた船体が、排水量を変化することなく、水線W’L’になるようにわずか横方向に傾斜した場合の浮心の移動について考えてみよう。
まず、水線WLとW’L’の交点Oば、この船がもとの水線WLで浮いていたときの水線面の重心を通り、かつ、傾斜軸に平行な線上にある。この場合、OはWLと船体中心線との交点にある。
僅少な傾斜角をφとし、傾斜後の浮心をB'とすれば、傾斜後の浮力は、B’をとおりW’L’に垂直に作用するから、この作用線の延長は、傾斜前の浮心Bと重心Gを結ぶ垂直線
とM点で交わる。
このM点のことを横メタセンタまたは単にメタセンタ(Metacenter)といい、MとGとの相対的位置関係によって、船体に働く横傾斜モーメントに差がでてくる。すなわち、MがGよりも上方にあれば、船体には元のつり合い趣上位置にもどろうとするモーメントを生じ、MがGよりも下方にあれば、船体を更に傾斜させようとするモーメントを生じ、MとGが一致すれば、その傾斜した位置でつり合いの状態にある。(図4.2参照)
このように、メタセンタの位置は、船体の横方向の復原性を決定する重要な項目となる。
静心BとメタセンタMとの距離BMば、船体形状によって定まり、次式で与えられる。

038-3.gif

ここに

038-1.gif

図4.1

038-2.gif

図4.2

 

 

 

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