また公共の利益に反する取引を一方的に強制することがないように、
これらの企業を国家的な監督の下に健全な発達を図って、公共の福祉を
増進することを目的とするものであって、船舶安全法とはその対象を異に
するものである。ただし、海上における安全なくしては海上運送事業の
発達はなく、公共の福祉もあり得ない。かかる高次の意味において両法は
互に他を補足する関係にある。
10) 漁船法
漁船法は、漁業の発達育成のための一環の法律として漁船の建造調整、
登録、依頼検査、試験に関するものを定め、漁船の性能向上と漁業生産力
の合理的発展を目途としている。
船舶安全法は、海上における人命確保の
至上目的のため堪航性その他の施設等を定めているものであって、漁船と
いえども特殊船の一形態に過ぎない現実から、これについても等しく安全
確保を期しているものである。
(11) 電波法
電波法は、電波の公平かつ能率的な利用を確保するため、無線局の免許、無線設備、無線従事者、運用等を定めている。
従って、船舶に関する無線について、その強制施設範囲は航行上の安全を確保する施設として船舶安全法で定め、両法によってはじめて船舶無線の機能が発揮ささるものであって、車の両輪のようなものである。
(12) 海難審判法
海難審判法は、海難審判庁の審判によって海難の原因を明らかにし、
その発生を防止しようとするものであって海難が人の故意又は過失によって発生したものであるか、船員の労働条件によって発生したものであるか、
物的原因によって発生したものであるか、その他外的要因によるもので
あるかを探究し、裁決をもって結論を明らかにして、懲戒または勧告の
措置をとるものである。
(13) その他
上記の法律の他に
職員については、最低賃金法、船員職業安定法、船員保険法、厚生年金
保険法及び船員保険
交渉法
船舶航行については、水難救護法、水先法、水路業務法、港湾法
海上運送については、離島航路整備法、船舶整備公団法、内航海運業法、内航海運組合法、港湾運送事業法、船主相互保険組合法、木船再保険法等によって終局的には、海上の安全の確保という目的を追求しているものである。