人工衛星からの軌道信号を受信し、内蔵のコンピュータ装置と組合わせて位置計算を行うもので高い精度で自船の位置を知ることができる。
(5)無線装置
無線装置については、内航船においてはVHF電話を装備することが要求されているが、装備機器については船主が手配するため、電源部を考慮しなければならない。また、その他の船で無線装置を装備する場合は、船種、航行区域等によってそれぞれ出力も異なってくるため、これらの設備については電波法、国際電気通信条約、無線通信規則等によって規定されているので、よく検討した上で決定する必要がある。これらの要求に適合されたものを装備後は検査に合格しなければならない。
一般に船舶に採用されている無線装置は、主送受信機、補助送受信機、オートアラーム受信機、操作卓、気象図模写受画装置、VHF電話、空中線装置、非常電源装置、救命ボート用無線機、ラジオブイ等からなっている。
無線通信は貫けん(キー)の操作でモールス信号を送るものと、無線電話により行われるものがある。モールス信号については自動的に受信し言語に翻訳してタイプライタに打たせる方式も一部では利用されている。
主送信機の各船舶無線局には、呼出し符号(CallSign)が割当てられている。最近の主送信器はSSB(Single Side Band)方式の電話通信ができるようになっている。
補助送信機は、主に主送信機の故障時などに使用するために装備されており、主竈源の喪失時にも蓄竈池を用いて、送信できるようになっている。また、遭難信号(SOS等)を自動的に送信できるようなオートキーヤ装置を持っている。
無線受信機は普通数台装備され、貫けんによるパルス状の送信波形から可聴信号を得るような装置を持っているほか、遭難信号周波数や自船の会社の割当周波数に対して安定した受信ができるよう水晶発振器を組込んでスポット受信ができるようになっているものが多い。
オートアラム受信機は、遭難信号だけを自動的に受信し、SOS信号があれば警報を出す機能を持ったもので、夜間無当直時などに利用される。上記の各送信機、電源装置等の操作及びアンテナの切替えなどのため操作卓が装備される。操作卓には全装置を組込んだラック形のものや、電源装置、送信機等を別置きにしたコンソール形のものなどがある。
気象図模写装置(ファクシミリ)は、天気図や新聞を受画するための模写受信機である。これらは日本を始め世界各地から割当てられた周波数で送信されているので、よく利用されている。