第4編
電気艤装
電気艤装設計編
第1章 電気の概要
1.1 一般
船舶における電気設備は近来特に複雑化され、また重要視されてきている。しかしあまり複雑化されてきているため故障時の対策が完全に行われることが少なく、しばしば事故を起すことがある。船舶の電気設備は耐久力があり使用者が安全、便利に使用できるものとし、必要かつ十分な性能をもったものを採用することが必要である。これらの電気装置としては発電機、電動機などの電力機器から航海無線機器、照明装置及び船の自動化機器まで多方面にわたっているが、これらは機能及び用途によって一般的に次のように分類されている。
1.2 各主要装置
(1)電源動力装置
電源動力装置は発電機、配電盤、変圧器、蓄電池、船外給電箱等一次電源装置から構成される電源装置と補機用電動機、始動器、荷役装置、甲板補機、厨房機器、電熱装置や動力分量箱、接続箱等の電路器具から構成される動力装置を総称したものである。
船の主電源である発電機は、ディーゼル機関に駆動され、船内の負荷に十分な電力が供給できる容量を有するとともに、一般には、船級協会の規定により1台が故障しても残りの発電機で航海中に必要な電力を供給できるよう、発電機は2台以上装備されている。発竈機には、交流発電機と直流発電機があるが、最近では直流発電機を採用する船は、照明と小容量の動力をまかなう程度の沿岸航行船ぐらいであり、ほとんどの船舶が交流発電機を採用している。
交流発電機が採用されるのは、直流発電機に比べ次の利点があるからである。
(a)陸上一般の標準品が使用でき、修理交換が便利である。
(b)発電機電動機等は、寸法的に直流機より小形である。
(c)高圧及び低圧が同一電源により変圧器を使用し簡単に得られる。
(d)係留停泊中、陸上受電により船内負荷がまかなえる。
(e)交流品は直流品に比べ安価である。