1.3.2 主機の選定
主機の選定は極めて重要なものであり、慎重に決定する必要がある。それは、同じ馬力の主機であっても大きさや重量、燃料消費量、必要とする関連補機の種類や数といった項目が大きく異なることがあるからで、造船所にとっては船の製造原価に大きく影響し、船主にとっては船の維持・運航費といったものに影響を与える。したがって主機を決定する際には、造船所の意向だけでなく船主の了解をとることが必要になってくるのである。
具体的な方法としては、船の推進に要する馬力に見合う出力で、かつ船主希望を考慮した何種類かの候補機種を船主に提示して決定するのが普通である。この場合、主機によって各々の主要目が変わるので、主要目を比較した一覧表を作成しておくとともに、特に燃料消費量については運航コストに直接関係してくるのではっきりとした数字を示す必要がある。
造船所としては、
1.使用実績があり信頼性もある。
2.各種メンテナンスを含めて維持費が安い、メンテナンスしやすい。
3.関連補機も含めて建造コストが安い。
4.粗悪油の使用など、船主の要望に応えうる。
5.アフターサービス体制が整っている。
などを考慮することが大切である。
また、機種を選定する際には、その主機の付属機器や装備品・予備品、及び造船所との配管や据付けに関する取り合い部等と特殊な事項の有無についても確認しておく。
1.3.3 軸系、プロペラの選定
プロペラの選定は船体形状や寸法、速力、馬力など船体の基本性能に大きく影響するので、船体の基本検討時に決定される。
しかし、主機とのマッチングや主機の起振力による船体振動の発生に関する問題、固定ピッチにするか可変ピッチとするか、プロペラの詳細寸法、軸径の太さや軸受の配置など機関部として決定すべき項目も多い。
それらは船体部との協議を重ねながら決定していくが、船舶機関規則や、各船級協会の規則に細かく規定されているものもあるので注意を要する。