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第1章 総論

1.1 学習指導書の内容

通信教育用テキスト基本設計は特定の船種だけに限らず、なるべく適用範囲を広くし、かつ技術向上にも即応し得るように諸式の係数は記号で示し、なるべく数値を与えることを避けたため、独習者には難解の点が多いものとなった。
一般に、実務を教えるためには下記5段階に分けて指導する方法が採られているが、この指導書は第3段階を主眼として編集した。
第1段階 教育資料を準備する。
第2段階 教える。
第3段階 やってみせる。
第4段階 やらせてみる。
第5段階 修得するまで指導する。
そこで、テキストの内容を理解させる手引書となり、かつ基本設計を実際にやってみせるため、との指導書の内容を次のようなものとした。
設計に当って、問題点が多く、逐次問題を解決しながら設計をまとめていくことが多い、よく検討された設計の一例として、ここに370総トン型(旧法480総トン型)鋼製内航貨物船の基本設計を選びテキストの目次に準じて詳細説明を行い、かつ必要な図書及び資料等を収録し学習指導書とした。
学習者自身が将来設計者となった場合に船主要求を検討し、設計をまとめて行くときの、よき手引書として、この指導書を活用することを勧める。
なお、この設計は昭和43年8月より昭和45年5月に亘る「コンテナ船化に関する調査研究」の一環として作成したものであって、当時の499総トン型貨物船は凡て1層甲板船であった。
コンテナ船は載貨重量よりむしろ載貨容積が問題となるので、第2−3表及び第2−1図「北欧諸国小型遮浪甲板型貨物船」の資料を呈示し、小型貨物船を2層甲板船とすれば、速力と載貨容積を増大し、運航採算面からも有利であることを強調した。そして私案が採用され後述の手順で2層甲板の370総トン型内航コンテナ船の試設計が行われた。
しかしながら、コンテナの価格、リフトオン・リフトオフに伴う港湾荷役設備、コンテナ・ヤードなどの初期投資が膨大となり、かつ所要コンテナ数を最小限にするためには、コンテナの回転率を極力よくすることであるが、これは陸運業者との提携と、空コンテナの陸送距離を短縮するため、陸上の集荷地が隣接して数個所あること、またコンテナ輸送に適した大量でしかもコンスタントな貨物輸送需要を往復する両港湾に近い地域に確保すること、港湾荷役業者の協調、長距離海上輸送であることなど多くの問題点があった。
一方では長距離カー・フェリーの就航が誘発的輪送需要の急増を招き、ロールオン・ロールオフ・コ

 

 

 

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