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第3章工程管理について

3.1工程管理の要点

工程管理の一番の要点は、工事の進捗即ち流れを円滑にすることであるから、工程に区切りをつけて、これを時間の流れと共に見守っていかなければならない。そして、その途中で不具合なことが起った場合には、直ちに何らかの対策をとる。これが管理というものである。単に工程表を作って、現場へ流せばよいという簡単なものではない。工事の流れの中では、材料が不足することもある。部品が間に合わないこともある。図面とか、指示とかいった情報が不足のこともある。また、工数即ち労力の不足もある。機械類を使用する工程では、その機械の整備不良や能力減退による故障や事故もおきる。原動力である電気や燃料の不足も起り得る。これらのすべての要素が円滑に工場内に注がれて、はじめて立派な製品が生産されてくる。そこで予定した工程計画が少しでも狂ったら、直ちにその原因を調査して対策をとらなければ取り返しのつかないことになる。特に造船工事は簡単な流れ作業ではないから、予想外の仕事も多いので、工程にはある程度の含みのある余裕も考えておかなければならない。

 

3.2工程表

一般に、造船所は同時にいろいろな船を建造しているから、工程表はそれらを重ねて一つの表にするが、この表は、ある日ある時の線を縦に見ることによって、その日のすべての工事量および主なる行事等も明白になる利点を以ている。それ故、管理者は大いにこの総合線表を活用しなければならない。
修繕をやっている所では船台別でなく、船名別に作る場合もある。その際は入港、上条または入渠の日時をいれ、渠中工事もあればそれを明白にして下染日や出港日時を明らかにするとよい。上下架や出入渠は潮の干満の関係もあるので、潮高または、月齢を入れておくと便利である。潮汐表は、その地方地方によって異なるから現場事務所には勿論、常に備えて掲示しておくとよい。

 

3.3工数の見積

工程表を作る上で、一番むずかしいのは、工数の見積である。一般に工数はそれをあつかう材料の重量や容量によってきまるものが多いが、工員の技量、意欲、使用する機械の力量、数、工場の作業場の環境、指導者の優劣等によって全く異なるので、従来の実績から決定する以外によい方法はない。それだけに、新しい仕事を見積る場合には非常に困ることが多い。
しかし、工数の算出にも一定の法則はあるので、その法則に従って、従来の実績または他社や他業種の積算資料等から基準量は算出できる。例えば、

 

 

 

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