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2.4.2船渠
船渠というのは港の波止場のように船が入るために凹んだ水面のことをいうが、船の造修を行うために、扉をその入口につけて、ポンプで排水できるようになったものを“乾ドッグ”(第2.9図a参照)と呼び、扉がない凹型の岸壁のような所は“湿即ちウエット・ドッグ”という。
船を上架したり下架したりすると、その途中で船体の後半部が水中に入り、前半の陸上部とに浮力の有無による力の差が生ずる。このために船はサッギング状態に曲げられて甲板部は圧縮され、キール部は引張りを受ける。これは、決して船体にとっては好ましいことではないので、船主ならずとも我々はこのことを極力避けなければならない。特に、大型の重い船はなおさらである。
この意味で、乾ドッグに船を入れて水中部の工事を行うのは理想的であるが、乾ドッグは海岸を深く長く切りとって工事するので、工事が複雑で、特に地盤が悪い場合には巨額の費用がいる。
また、工場の敷地内に深く入り込むので、その設置場所によっては、工場の敷地が2分されることにもなり、その面積だけ作業場が減少する。陸上面積のせまい工場では、乾ドッグを新

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第2.9図a 乾ドッグ

設するよりも、浮ドッグを設けた方が有利な場合もある。
浮きドッグは第2.9図bに見られるように、鋼板製のポンツーンと側壁から成り立っているもので、このポンツーンや側壁部のバラスト・タンクになっている部分に水を注・排水してドック全体を浮沈させ、修理船を上下架するものである。主体の構造は鋼板製のタンク構造であるから、材料も大部分鋼材で案外安価にできるが乾ドック同様排水用の大型ボンブが必要で

 

 

 

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