
3. 整備技術―計測・検査のポイント―
(平成8年度1級実技検定試験の結果から)
本年度1級実技検定試験は、計測およびその結果をもとに各機種の整備基準(使用限度)と照らし合わせて、その物の良否(継続使用の可否)を判定するものであり、4課題(1課題25分)について実施した。
本検定試験の結果をふりかえって、今後の参考になるように全般的なポイントおよび各課題のポイントについて述べる。
尚、本年度1級実技検定試験の成績は受験者の約70%が所定のレベルをクリアしており、課題は難しいものではなく、易さしかった様に思う。
3.1 全般的なポイント
▼慣れた作業、計測であっても通常やっている通りで良いというわけにはいかない場合もある。試験なのだという感覚を忘れないようにすることが重要であり、課題が何をもとめているかを理解すること。
▼ミスは誰にでもありうる。試験である以上、このミスをなくしたものが勝者となる。従って時間に余裕があれば当然時問一杯を使ってイージイミスをしていないかを、チェックすることが大切である。しかるに今回の検定試験においては、ほとんどの受験者が時間をもてあましていたが、十分なチェックをしていない受験者が多々見受けられた事は残念であった。
▼マイクロメータ、ダイヤルゲージでの計測値は、小数点以下3桁まで読むべきである。また今回提示した整備基準(使用限度)の値もすべて小数点以下3桁(例、スラストスキマ0.300,0.330,etc)まで示し、計測値を小数点以下3桁まで要求しが、残念ながらかなりの受験者が2桁までしか書いていない。今年度は3桁目を0として採点したが、来年以降は減点する。
▼課題の内容を良く読み、それを理解することが重要ポイントである。見ていると、はやとちりしている人もかなり見受けられた。
3.2 課題1のポイント
〔課題1:与えられたエンジンのスラストスキマを測定し、継続使用の可否を判定しなさい。なお、主軸受キャップは緩んでいるので、規定のトルクで締付けてから計測すること。〕
▼ダイヤルゲージを図3−1のようにクランク軸端へ直角に当てること。
実際に見ていると直角に当てず、かなり斜めに測定子を当てている受験者が見られた。これでは実際のクランク軸の動きよりダイヤルゲージの測定子の動きが小さくなる為、計測値に誤差を生じる。
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