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1.2 中低速エンジン

(1)阪神LH38L形機関

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図1 機関全体写真

1. まえがき
ハンシン低速4サイクルロングストロークLHLシリーズは、1988年にLH28Lの製造を開始して以来、LH30L,LH32L,LH34L,LH36L,LH41L,LH46Lと順次、開発を進めてシリーズを充実してきました。
この度、新たにLH38L型3000馬力の開発を完了し、1600馬力から4500馬力の出力レンジをきめ細かくカバーするLHLシリーズのラインアップが完成しました。
LH38L形はその前進であるELシリーズで得られた多くのデータと、既に稼動中のLHLシリーズで実証された技術を駆使して開発した信頼性の高い機関です。
2. 主要目
LH38L形の主要目を表1に示します。
3. 機関の構造と特長
本機関は信頼性及び耐久性の向上と保守・点検の容易性を主眼に設計しています。
図1に機関全体写真、図2に機関全体組立図、図3に機関組立断面図を示します。
(1)構造物
機関の構造物であるシリンダ、架構、合板は支柱ボルト(油圧締め)により締付けて、高い剛性を確保しています。
吸気管、冷却水入口主管は鋳鉄製のシリンダーに一体化し簡潔な外観に寄与しています。(図4参照)
また、推力軸受は機関の合板に内蔵し全長の短縮を図っています。

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表1 LH38L形機関主要目

(2)クランク軸
クランク軸は強度的に優れたRR鍛造クランクを使用しています。
主軸受、クランクピン軸受は信頼性が高く保守・点検が容易な薄肉完成メタルを用いています。
主軸受はホワイトメタル、クランクピン軸受はアルミメタルでいずれもオーバレイを施して初期なじみを向上させています。
(3)ピストン
ピントンは鍛鋼製クラウンと鋳鉄製スカートの組立式とし、爆発圧による機械的応力と熱応力に対し十分な強度を持たせています。
スカートには初期なじみを向上させるため鉛銅リングを3本装備しています。
一方、ピストンリングはコンプレッションリングを4本、その内のトップ、セカンドリンクは耐摩耗性向上のためクロムメッキ付とし、更にトップリングにはGT(ガスタイト)リングを採用して燃焼ガスのブローバイを防いています。またピストンリング溝にもクロムメッキを施し耐摩耗性を向上させています。
オイルリングもクロムメッキ付で、コイル付の高面圧2本をピストンピンの上部に配置して燃焼室へのオイルアップを防ぐと同時に、摺動面は十分潤滑しシリンダライナとピストンの過大摩耗を防止するようにしています。
(4)連接棒
連接棒は炭素鋼鍛造品で大端部はクランクピン径を大きくとれる三つ割り構造とし、爆発圧・慣性力に対して十分な剛性を持たせています。
(5)シリンダライナ
シリンダライナは特殊鋳鉄製で耐摩耗性向上の

 

 

 

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