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第4章 計測検査器具の取扱い・検査方法

機関の出力増が過給機によって実現され、機関の構成部品の荷重条件は苛酷となってきている。これにたいする使用材料は強度、剛性面から十分耐えられるよう配慮されていると同時にその寸法精度は、以前より数段高められ、今日ではすべての部品が1/100mm以上の精度が要求されているといって過言ではない。
したがって、使用計測器についても後述するように真に1/100mmの精度を保障するためには最小目盛1/100mmの計測器を使用することには疑問があるといえる。これは計測器の読みと計測器の誤差からくるもので、補正乃至は一段階精度の高い計測器を使用するにこしたことはない。このことはまた最小目盛間隔の数値を個人の感覚から読みとり、これを同一寸法のものの比較値とすることは可能といえるかも知れぬが、寸法の絶対値とすることは意味のないことになる。
また、丸軸(たとえばピストンピンなど)の外径測定にしばしば使用されるノギス、マイクロメータは、両者とも二平行面間の距離の読みであるため、測定値が何れの点でも等しいといってもそれが必ずしも真円ということを意味するものでないことを了解しておく必要がある。
以下計測器および計測にあたっての注意事項について述べる。

1. 測定について

1.1 測定と検査
測定と検査の両者には、本質的な違いはなく、ただ、その手段において異なるものである。測定とは、品物の形状、寸法をなんらかの方法によって測り、これを数値を用いて表わすことであり、検査とは、品物を測定した結果を判定基準と比較して、それぞれの品物の良、不良を決めることである。
1.2 測定誤差
品物の寸法を測定するとき、品物の真の寸法と測定値との間には、多少の差が生ずる。また、同一条件でも、測定毎にそのつど結果に多少の食い違いが生ずる。これが測定誤差である。
実際には、同じ測定をなん回もくり返すことは能率が悪いので、できれば確からしい値を早く得るようにすることが必要である。このためには誤差の原因を確かめて、できるだけ誤差を少なくするようにつとめなければならない。
しかし、誤差によっては測定後に補正できるものと、本質的に除くことのできないものとがあり、これらの誤差を大別すると、個人誤差・計測誤差・外部条件による誤差・偶然誤差などに分けられる。
1)個人誤差
目盛を読む際に、測定者のくせからおこる誤差で、人によって1目盛の間を目分量で

 

 

 

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