3)焼付
油切れ、起動、停止、過小スキマ、過低速、高速、高温、高荷重、片当りなどによって、摺動面間の固体接触となり、過熱、表面流動、カジリ、内部摩擦が急速に激しくなると、激しい発熱、ひきちぎれ、振動を伴ない、凝着による回転抵抗が急増する。
こうして回転トルクにうちかって摺動面の完全固着、即ち焼付に至ったり、摺動面の移動、即ちハクリや裏金面でのすべりを生じたりする。
過熱、表面流動、カジリ(線状キズ)は焼付の初期現象であるが、摩耗、キズと混同されることがある。焼付では表面層の凝着、硬化から内部摩擦過大となり、組織深部に至る流動、勇断、キレツ、ハクリなどに至る。
焼付組織は一般に、(1)低融点金属の脱出、(2)凝着、摩擦部の流動、(3)高融点金属の硬化、ハクリ、などが見られる。焼付はキズ、摩耗を伴いやすく、最終的にハクリとなりやすいが、通常前述の(1)、(2)で焼付と断定できる。即ち明らかな組織の変化を伴なう。

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