(3)船尾管船首側の封水装置にグランドパッキング方式の採用する場合、プロペラ軸スリーブと船尾管パッキンとの摩耗によりスリーブ表面が深く摩耗することがあるので、プロペラ軸スリーブのパッキンとの摺動部は予めFRPなどでコーティングして保護する必要がある。また、端面シール装置の場合、プロペラ軸スリーブが電蝕で腐食することがあるので、端面シール装置のプロペラ軸スリーブ摺動部にFRPなどでコーティングまたは防食ペイントを塗布して保護する必要がある。
2.3プロペラ軸のゴム巻きの補修
プロペラ軸のゴム巻きの補修に関しては、検査官および船級協会の検査員と十分協議し、補修後第1種軸として使用するか否かも確認する必要がある。
1)修理の範囲
修理可能な範囲は次の通りとし、それ以上のものは補修したとしても第1種軸としては認められない。
?あてきず及びあてきずによる切れ
傷の直径が軸径の半径に相当する円弧上の長さ以内の大きさで深さ6m2/m以下のものとする。但し深さはゴム層の厚さの2/3をこえない範囲とする。
?自然老化
製造後9年以上の経過したもので自然老化があるものは、修理をしても第1種軸として認められない。
?自然亀裂、あり溝部の接着層のはがれ、またはその他の接着部の浮きは修理を行なっても第1種軸として認められない。
2)補修方法
(1)ゴム材
修理を行なうには次の材料を準備しなければならない。ゴム巻本体の材料が天然ゴム(NR)、クロロプレン系(CR)、プタジエン系(SBR)又はニトリル系(NBR)の何れに属する配合ゴムであるかを見分けて加硫ゴムに接着できかつ色相が同じであるように材料を選ばなければならない。加熱方法によって相違があるが、ゴム巻き本体のゴムを劣化させないために若干量の加硫(硬化)促進剤を添加して加硫を速める必要がある。
(2)こて塗材又は刷毛塗剤
修理部分が比較的小さく、かつ深さが浅い場合には適当に配合した糊状又はぺ一スト状のゴムを使用してもよい。この場合ゴム糊が接着剤を兼ねることがあるので加硫ゴムと接着が良いことが必要である。
(3)接着剤
加硫ゴムに接着し易い、吸水性の少ない接着剤を選ばなければならない。
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