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今までの場周飛行のやり方は、何かたいせつな要素が抜けていたようである。慣れた滑空場ならば、なんとなく安全にやれるが、別の滑空場に着陸するような場合には、大いに勝手がちがってくる。不時着のときなどなおさらのこと、あとで考えてみると馬鹿なことをやったように思われる失敗をすることもある。性能の違う機体に乗ったときも、同様である。
教育の課程から評価してみると、指導者間の指導内容が大幅に違っているので、そのための無駄な時間と回数の増加を来すようである。それらの原因を考えてみると、何かまだ理論的な裏付けが不足しているように思われる。それには、次のような原因がある。

 

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2−25図は、あるテキストの図解である。この方法は、飛行機の場周飛行をそのままグライダーの場周飛行にとり入れたものである。飛行機のパイロットであった昔の教官たちが、飛行機の教程をそのまま使ったためである。この方法だと、風があってもなくても、風向がどうであろうとも、そのことについては充分な説明がない。経験をつむ以外には、それを身につける方法がなかったので、各旋回点は地上の適当な目標を基準にする方法が採用された。
2−26図では、その各コースを細かく細分し、コース上の着目点を記してあるが、はたしてこれで完全な場周飛行ができるであろうか、疑問である。これも、完全に飛行機の教程の焼き直しである。

 

 

 

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