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以上の三つの要素は、どれも欠くことのできない重要なものであるが、技能証明を獲得するには、上記の第一と第二だけで、しかもほんの一部を得ることで合格する。しかし、グライダーパイロットとして扱われ、滑空界の人となろうとするには、この第二を充実しなければならない。

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グライダーの場合には、飛行機のエンジンに相当する大気中のエネルギーをじょうずに利用することが、たいせつである。したがって、大気の動き、すなわち気象をよりよく知っていなければならない。当然、知識と経験が必要である。しかも、そのエネルギーは、大自然が作り出してくれるのである。そのような状態になったときに、それを自分で発見しなければならない。そのため、グライダーパイロットは、常に受けて立つ強い不動の精神力が必要となる。
次に、第三の要素は、プロにとっても、アマにとってももっとも必要な要素で、その獲得に努力しなければならない。最初のうちは、おもしろ半分でやっている人がほとんどのようであるが、そのうち、ライセンスやバッジのとりこになり、しだいに引きずりこまれてしまい、いつのまにか真剣になっていくのが現実である。なにしろ、空中に飛翔している自己を意識したときに、人類の本能的なあこがれがよみがえって、自信をとりもどしていく。なかには、単独飛行は早かったし、技能証明も早くとれたものの、いつのまにか、グライダー界から消えていった例も多い。これも、第三の何かが欠けていた結果であろう。

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最初の単独が適切な時期に行われたときには、前途に希望がある。

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早すぎる単独には危険が待ちかまえている。

 

 

 

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