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(2)伊良湖は419日で、この観測点における風速計の設置高度は低いが、渥美半島の先端に位置している関係上地形的に強風が出現しやすい。
(3)四日市は104日で、風速計の高度は地上から12.3mで伊良湖とほぼ同じであるが、観測点の設置が海抜47mの所にあり、地面摩擦の影響を受けながら出現する日数は少ない。
(4)名古屋が93日と極めて少ないのは観測点が名古屋市街地の東部で、やや小高い20〜30mの起伏に富んだ丘陵地帯にある。風速計は庁舎の屋上で、18.0mの高度に設置されているが都市化現象に伴い風の観測にも色々と影響を受けていると思われる。
図2.1.1の季節別風配図と月別強風日数から、伊勢湾沿岸各地の風を要約してみる。日本付近は、冬期には大陸の高気圧が発達し、西高東低の気圧配置となって北西の季節風が吹きやすい。夏期は太平洋高気圧が強まって、南寄りの風が吹くようになる。この地域の強風は、主として冬の季節風と、本州付近を通る台風や低気圧によって出現する。
(1)名古屋(図2.1.1.a)は、冬と春および秋に北西風が出現している。冬と春には南系の風が皆無である。春は西高東低の気圧配置になるようなときが多く、太平洋高気圧はまだ現れていない。秋は夏の気圧配置になるような場合があると同時に冬に移りつつあるという傾向を示している。夏は太平洋高気圧の影響下にあり南寄りの風が卓越している。北西の風も出現しているが、僅かである。月別強風の出現は3月、1月、2月、4月の順で多く、15m/S以上の強風は9月のみで原因は台風でる。
(2)伊良湖(図2.1.1.b)も名古屋と同様に冬と春に北西風が卓越している。冬はほとんど北西風であるが、春には太平洋高気圧の影響も出て、東風も出現している。夏は全く太平洋高気圧の範囲に入って東ないし東南東風が出現している。観測点の南東約4kmの所に300m程の山があるため南寄りの風の出現は妨げられている。月別強風の出現は、名および春が多く、夏および秋の各月は、冬、春の各月の1/2位になっている。15m/s以上の強風は5月を除いて毎月出現しているが、各月とも1日以下である。
(3)津(図2.1.1.c)は、伊勢湾の西岸にあるが名古屋と同じような風配図を示している。ここの観測点は40mの高度で測定しているので、南風としてはこの周辺の一般風と考えてよいと思う。冬は北西の季節風、春も冬の季節を引き継いで北西風が卓越しているが、後半には夏の太平洋高気圧の影響を受けて南東風が出現しはじめる。夏はほとんど太平洋高気圧の影響を受けて南寄りの風、秋になると夏に引き続いた南東風も出現しているが、冬の気配が大きくなるとともに北西風が卓越するようになる。月別強風の出現は上記のように高い所で観測しているので、他の観測所に比して出現日数が多く、3月と4月(春の季節)が最も多く、次いで冬の季節である。夏も多いが、7月の出現日数は3,4月の1/3くらいに減少している。15m/s以上の強風は各月ごとにある。最小は5月、最多は9月であるが、9月は台風が原因になっている。

 

 

 

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