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3. 干潟

河口域や湾の奥部の潮間帯には、川から流れ出た砂泥が堆積し、広く平坦な砂泥地ができる。干潟とは、このような場所が千潮時海面上に姿を現したものを指す。
干潟にはその成因から、湾などの入江にできるものと河口にできるものと2つのタイプに分けることができる。海流や川に運ばれて堆積した干潟は、チッソやリンなどの有機栄養分が、多く含まれているため多くの底生生物が生息しており、これらの生物を餌とする野鳥などの集まる場所となっている。
さらに干潟に生息するバクテリア・ケイソウなどの植物プランクトンは海洋生物及び幼性の動物プランクトンなどによって有機栄養物が分解され、水質の浄化にも役立っている。
砂や泥ばかりの干潟ではあるが、渡り鳥をはじめ多くの生物にとっては、貴重な場所である。しかし、1960年代以降に始まる開発・埋立によりいくつかの干潟が消滅した。伊勢湾では愛知県8ヶ所、三重県22ヶ所が現存している。特に、野鳥が多く見られる代表的な干潟を紹介し、一覧表を記載する。
(1)新川・庄内川河口
庄内川の河ロー帯は、アシ原と干潮時に現れる干潟があり、多くの水鳥の渡来地として県の鳥獣保護区に指定されている。川の左岸には稲永公園があり、川に面した松林の中には昭和60年4月に設置された名古屋市野鳥観察舎があり、バードウォッチングが楽しめる。
(2)藤前干潟
名古屋港の最奥部に唯一残存する120haの干潟である。ここには多くの生物が生息し、それらを餌とする沢山の留鳥や渡り鳥を見ることができる。とくに、シギ・チドリの渡来地である。しかし、この藤前干潟はゴミの最終処理場として、その52haが埋立計画の対象となっている。

 

 

 

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