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を含めた世界各国において、センシティビティ・マップの整備・普及のための検討が進められているところである。

 

2.1.4 NOWPAPとセンシティビティ・マップ
かねてより国連機関の一つである国連環境計画(UNEP)では、国際的な閉鎖性海域及びその沿岸域における海洋環境保全を目的として、関係する複数の沿岸国による地域的な国際協力計画の策定を提唱していた。この計画は「地域海計画」と呼ばれ、既に運用されている計画と現在策定中の計画とを合わせて、世界14のエリアが対象となっている。言うまでもなく、大規模海洋汚染事故への緊急事対応を効果的に実施するためには、当該海域の沿岸関係国間で地域的な国際協力体制を整備しておくことが必要であり、前述のOPRC条約においても、緊急事対応に関する多国間協力の促進が求められている。しかしながら、日本海及び黄海を含む北西太平洋海域においては、未だ実行性のある緊急事対応のための国際協力体制が確立されていない。
こうした状況の中、1994年(平成6年)9月、ソウルで行われた政府間会合において、UNEPの提唱する「地域海計画」の一つとして、「北西太平洋地域海計画(通称NOWPAP)」が採択された。
この計画は、日本海及び黄海の海洋環境保全を、わが国を含む沿岸関係国等(日本、韓国、中国、ロシア、北朝鮮)の協力により推進してゆくことを目的としており、海洋汚染緊急事対応に関する沿岸関係国の協力体制の整備が目標の一つとして盛り込まれている。現在、協力体制の具体化に向けて、沿岸関係国間の合意形成を図ってゆくための作業が進められているところである。
1996年(平成8年)7月23日から25日までの3日間、当協会は運輸省との共催により、NOWPAP関連の国際会議、「北西太平洋海洋汚染防除新潟会議」を開催した。本会議には、関係各国の海洋汚染防止担当部局及び関係国際機関から海洋汚染防止分野の専門家が参加し、各国の実情に適した海洋汚染防止に関する緊急時対応協力体制のあり方等について、具体的な検討及び意見交換などが行われた。
本会議における審議の結果、今後の中長期的な目標として、NOWPAP域内におけるセンシティビティ・マップ整備のための検討を、関係各国等の協力により前向きに進めてゆくことなどが決定した。
このように、センシティビティ・マップの整備・普及の促進は、各国における油防除能力の強化といった国内問題の一つであるとともに、今や流出油緊急時対応に関する地域国際協力体制の一環としてとらえることも必要とな

 

 

 

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