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る。
ESマップは、世界のセンシティビティ・マップのひな型として各国で高い評価を受けている。既にフランス、ドイツ、イタリア、ナイジェリア、クエート、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、マレーシア及びニュージーランドなどの国々で実施されたセンシティビティ・マップの整備・普及事業では、米国による技術指導などの形でESマップの作成手法が積極的に取り入れられている。

 

2.1.3 OPRC条約とセンシティビティ・マップ
1989年(平成元年)、米国アラスカ州プリンスウイリアムズ・サウンドで発生したエクソンバルディーズ号による大規模流出油事故は、防除作業の初期対応の遅れから貴重な自然環境と水産資源に莫大な被害を及ぼした。また、広範囲に拡散した油を処理するために諸外国の支援を求めるなど、その後の流出油の除去作業等に重大な影響を与え、大規模流出油事故への対応の難しさを世界中に認識させる教訓となった。
この事故を契機としたIMO(国際海事機関)での検討の結果、大規模流出油事故へ対応するための「各国の油防除体制の強化」と「国際的な協力の枠組み」を定めた新条約、OPRC条約が1990年(平成2年)11月に採択された。同条約は1995年(平成7年)5月に発効し、わが国においても国内法の一部が改正され、1996年(平成8年)1月17日から効力を生じている。
OPRC条約では、第6条に規定されている「準備及び対応のための国家的な緊急時計画」の立案に際して考慮すべきガイドラインという形で、防除計画の策定や防除活動の遂行など、大規模油流出事故への対応を迅速かつ効率的に行うための手段の一つとして、センシティビティ・マップの作成が勧められている。
わが国においては、OPRC条約に基づき1995年(平成7年)12月に閣議決定された「油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」の中で、「関係行政機関は油流出事故に対応する措置を的確に講じ被害の発生を最小限に抑えるための参考とするために、各海域ごとの自然的、社会的、経済的諸情報、即ち漁場、養殖場、工業用水等の取入口、海水浴場、珊瑚礁、藻場、干潟、鳥類の飛来・繁殖地などに関する情報を収集・整理し適宜最新のものとして維持するとともに、それぞれの行政に反映できるよう例えば情報図として整備するなどその内用を充実させること」としている。
現在、OPRC条約の発効を契機として、わが国及び近隣の中国、韓国等

 

 

 

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