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2.河川輸送の事例

わが国の河川のうち、船舶の貨物輪送路として利用されている事例として荒川を取り上げ、その実態を以下に示す。なお、とりまとめた資料の情報源は以下のとおりである。
<荒川を利用する貨物輪送の実態と計画についての情報源>・内航組合総連合会に対するヒアリング
・「我が国における近代運河の実現可能性に関する基礎調査報告書(平成7年3月)
財団法人港湾空間高度化センター
1)貨物輪送ルートとしての荒川の特性荒川は、埼玉県、長野県、山梨県の県境が接する甲武信岳付近を水源とし、埼玉県及び東京都内を流れて東京湾に注ぐが、船舶の航行が可能な区間は河口から約35km上流の取水堰までである。
水深は最浅でも3.5mを確保するために、凌渫が行われたが、現在ではかなり埋まっているもようである。また、川幅は300総トンクラスの船舶がすれちがうことができる8m×2航路が確保されている。
船舶航行区間(河口から秋ヶ瀬取水堰までの35?区間)には道路橋と鉄道橋を合わせて37の橋梁があるが、橋の桁下から水面までのクリアランスは淀川の橋梁に比べて大きいものが多く、最も小さい橋(京成電鉄押上線橋梁)で3.0mである。また、橋脚間の幅も船舶の航行に支障がない程度に広く、淀川に比べて船舶航行の障害となる橋梁はほとんどない。
橋の桁下と水面とのクリアランスが最も小さい京成電鉄押上線の橋梁は、船舶の衝突事故により橋梁が破損し、長期にわたって電車の運航ができなくなったため、現在橋梁のかさ上げ工事が行われており、その工事が完成すると橋梁にかかわる船舶運航の障害はほとんどなくなると考えられる。

表5−4 荒川の橋梁の概要(船舶航行可能区間の37橋について)

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なお、荒川は笹目橋(河口から28.6?)まで東京港の港湾区域であり、この区間での貨物荷役は港湾運送事業法に従って行われる。

 

 

 

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