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近畿圏の物流拠点整備の方向性

第I章では社会経済環境の変化や物流拠点の役割、荷主・物流事業者の物流拠点に対するニ一ズと問題点、上位関連計画・関連法規から近畿圏の物流拠点の課題の抽出を行った。
また、平成7年12月1日には、わが国経済の高コスト構造の是正・活性化のために、「構造改革のための経済社会計画」が、閣議決定されている。その中の「高コスト構造是正・活性化のための行動計画」では、港湾、空港といった基本インフラや、貨物駅、倉庫、上屋、トラックターミナル等の物流拠点の整備、モーダルシフトや複合一貫輸送の推進をはじめとする幹線物流の効率化及び積合せ輸送等の必要性が指摘されている。そして、このような取組を通じてトラックの積載効率の向上を図る地域内物流の効率化が必要であることが物流効率化のための目標として掲げられている。
本章では、第I章で抽出された課題を解決するための考え方を物流拠点整備の方向性として検討した。検討にあたっては、今後の物流行政の動向や、上記の視点を加味しつつ、課題で示された情報化、貨物特性、危機管理、物流拠点の高度化・効率化、地域との共生・協調といった視点を重視した。

 

(1)輸送の効率化への対応
?物流整流化への対応
積載率の向上等により物流の効率化を図ることは、コスト削減の他に、幹線輸送の合理化、交錯輸送の改善を図るうえで極めて重要である。そのことが、トラック輸送のトリップ数を削減し、周辺地域の交通環境の改善につながることになる。
平成7年7月の国道43号・阪神高速道路騒音排気ガス規制等請求事件に関する最高裁判決では、道路公害に対する設置管理者の責任が間われた。今後、車社会の中にあって、騒音防止等の環境対策に一段と強い取組が必要とされている。
そのため、現在、(社)全日本トラック協会と日本貨物運送協同組合連合会で取り組まれている帰り荷・空き便情報提供システム(ネットワークKIT)や、中小運送事業者を対象とした日本ローカルネットワークシステム協同組合連合会が取り組んでいるパソコンネットワークによる水車・求有情報システムを活用し、荷主企業やトラック事業者の利用促進を図ることに加え、オムニトラックシステム等を導入するにより、トラックの幹線輸送の効率化を進めていく必要がある。
都市内の物流の整流化を進めるといった観点からは、大規模な物流拠点と都市内に立地する配送デポ等との間の連携を図るため、情報を連携する仕組みをつくっていくことが不可欠である。
さらに、このような試みとあわせ、物流事業者間の共同運行、共同配送を積極的に進めていくとともに、都心内でのビル内共同荷捌場やトラックベイの整備を進めていくことが必要である。

 

 

 

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