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込まれている。
物流拠点において、このような取扱に注意を要する貨物の取扱についてはさらに丁寧な荷扱いが求められる。

 

?季節波動への対応
これまでも、物流業ではお歳暮やお中元のように一時期に集中して発生する貨物にも対応してきたが、今後最終製品の輸入が増加することにより、輸送の時期が一時期に集中する貨物が増加し、このような季節波動はさらに大きくなるものと想定される。
一方、物流事業者は中小規模の企業が多く、この様な季節波動への対応が体力的に困難な場合も見受けられることから、物流拠点においてもフレキシブルな人員確保の体制の確立や施設の柔軟な運営など、季節波動への対応が必要である。

 

?多様化と専門化のバランス
物流業が貨物の特性に応じたサービスを展開する方策として、サービスの多様化を図っていく事業者と特定の荷主や貨物に専門化する事業者が見られることから、物流拠点整備を行うにあたっては、多様化と専門化のバランスが必要である。

 

(4)物流拠点の危機管理システムの構築
?物流拠点の多重構造の構築
平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災では、高速道路の倒壊に見られるように交通インフラが大打撃を被り、初動期においては被災地における物資の供給に混乱が生じた。
この点は、物流が地域の経済活動を支えている役割を担っているといった点を再認識することとなったと言えるが、この様な経験に鑑み今後、災害時においても円滑な物資供給を可能とする物流体系の構築が求められる。
そこで、物流拠点整備においては、複数のアクセスを確保するとともに、多重型の情報ネットワークを構築するなど、物流拠点相互間の有機的連携を高めることにより代替機能(リダンダンシー)を確保していくことが必要である。

 

?物流拠点の防災機能の強化
阪神・淡路大震災では、神戸港をはじめとする多くの物流施設が甚大な被害を被った。その結果、震災後は物流機能は著しく低下し、物資供給が思うように進まなかった。
今後、災害時においても円滑な物資の供給が可能な物流体系を構築する上で、物流拠点の防災機能を高めていくことは不可欠であり、物流拠点の重要性や性格に応じて耐震性を高めるとともに、防災無線をはじめとする防災施設の整備を行うことが求められる。

 

 

 

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